「これは俺が体験した、本当にあった話だ・・・」
そう前置きをして、彼は語り始める。
暗い部屋の中で。
寒い部屋の中で。
誰かに話しかけるようで、それでいて誰にも聞かせないように。
「ある夏の日、俺は近所の縁日に行っていた。高校で離れちまった奴らとも一緒に遊んでたんだよ」
ロウソクの火で自らの顔を照らして語る。
それだけで、周りにいる女性は少し震えてしまったようだ。
「それで帰り、遊びすぎて結構遅くなっちまってな。暗い中、1人で自転車に乗って帰ったんだよ」
この、人が少ない田舎でさ。
そう付け加えて、彼は語り続ける。
「一応、電灯がある広い道を通ったんだよ。ぶっちゃけ怖かったからな」
少し照れ笑いした彼を見て、彼女たちは少しだけ恐怖を忘れた。
ほんの、一瞬だけ。
「それで、車も通ってない道だったが、ずっと前の方に1人・・・そう1人だけ、明りに照らされて白い服を着た人がいたんだ。ただ・・・」
「た、ただ・・・?」
少女が怖さからか彼に話しかける。
不安と期待が混ざったような口調で。
「顔の部分が、見えなかった・・・」
彼女たちの背筋にゾッと冷たい何かが走る。
その姿を見て、彼は話を続けた。
「ただ遠かったから見えなかっただけじゃないかって思った。現実的に幽霊なんていないと思ってたからな。だが、俺は怖かった。それでも怖かったんだ。だから、その人に注意を払いつつ、だけど帰り道にいたから、そっちに向かっていったんだ。そしたら・・・」
「そ、そしたら!?」
怖がりながら聞く一人の少女は、もうすでに泣きそうな顔になっていた。
事実、半泣きだった。
「顔があるであろう位置が、そこだけが、青白く光っていた。まるで、テレビで見る幽霊みたいにさ」
ガタンッ!
音がした。
おそらく、風で外のなにかが倒れたのだろう。
しかしそれが、彼女たちにより恐怖感を与えた。
「怖かった。見間違いだと思った。だから、俺はその人の近くにはいかず、わざわざ車道に出たんだよ!…そのあと、どうなったと思う?」
「ど、どうなったんですか・・・?」
「その、白い服を着た人がこっちにやってきたんだ!!わざわざ歩道から車道の方に!!」
キャー!
誰かが叫んだ。
いや、誰もが叫んだ。
その少年以外の全員が悲鳴を上げた。
「だから、俺は顔をあげてその人のほうを見たんだ。驚きつつ、少し勇気を出して…そしたらなんと!!」
一瞬、タメをつくって彼はオチを話す。
「その人、スマホいじってたんだよね」
『・・・・・・・・・は?』
女性陣がみな唖然とし、気にせず彼は続ける。
「いやー・・・スマホいじってるから顔は下向きで見えるわけはないし、その明りで青白くもなる。それでなんか前向いて無いから横に逸れちゃたんだろうなー。もしくは音に反応したのか。まぁ、現実ってそんなもんだよな」
その言葉に、彼女たちは呆れる以外のなにも出来なかった。
「そもそも!なんでこの冬の寒い中に怪談話しなきゃいけないんですか!!」
「そうですよ兄さん!そこから間違ってます!!」
ノリノリだったくせによく言うぜ、という言葉を胸にしまい、吉村優一は2人の話を聞く。
「いくらすることがなかったからって・・・しかもあんなオチだし」
「いや、だって実話だからな」
ちなみに、作者の実話である。
わりとマジで怖がっていたようだ。
「じゃあ次は誰が―――」
『もう怪談話はいいです!!』
「ちっ、じゃあコレは北海道ではよくある話だ。いや、うん、ちゃんと冬の話だし、怖い奴じゃないぞ?」
女性陣に気圧されつつ、優一は話す。
「ホワイトクリスマスって本州の雪があんま降らない地域だったらロマンチックじゃん?」
「まぁ・・・そうっすよね。1回恋人作って見てみたいっす♪」
「じゃあ、来年のクリスマスは一緒にどうだい?」
「で、それがどうしたんですか?」
「スルーですか!?」
さりげなく口説いたものの、スルーされた優一は少しショックを受けた。
「まぁいい、それがだな、北海道では、『ホワイトクリスマス♪ホワイト過ぎて周り見えないねw』という状態らしい」
「そんなクリスマス嫌ですね・・・」
ちなみに作者はその中でも電車を使って隣町まで講習を受けに行き、中止になって帰ろうにも運休になって帰れないという状態になっていた。
『サンタさん、こんな素敵なプレゼントありがとう!!』と何度言ったことかわからない。
「というわけで、だ。北海道は冬は大変辛い。来るなら夏の方がいいぞ!」
「それ、誰に言ってるんですか?」
ミズキの突っこみに、優一は笑うだけだった。
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オチがなかったんだよ、オチが!!
まぁ、久々の小説なりー
なりなりー
感想ヨロぽけ