こんにちは![]()
日本ではまだ情報の少ないハイパーレクシアについて、英語でリサーチして有益だった情報と、それを利用したおうち療育について発信しています。
前回の投稿では、参考になった文献自体を紹介しましたが、今回はその中身に入っていきたいと思います。
初回は、ハイパーレクシアの定義から。
ハイパーレクシアとは何だ、というのはwikiにも載っているくらい、このブログにたどり着いた方なら基本的なことは知っていますよね。
日本語で見かける情報は、「“過読症”ともいう」「教えてもないのに字が早くから読める子供のこと」「タイプは3つある」「自閉症の子に多い」くらいでしょうか。
ただ、詳細や具体例がなかったり、“だからどうしたら支援できるのか”、という情報がどこにもないんです!それがずっとストレスでした。。。
きっと、日本で研究が進んでないこともあるとは思いますが、結局は自閉症の症状と似ているので、療育の現場でも自閉症の特性の訓練で対応していくことになるからだと思います。私の息子も集団の療育の際は自閉症の特性の対処の練習が主になっています。
少し話は外れてしまいましたが、ハイパーレクシアの定義についてまとめましょう。
大きく分けて3つの特徴があります。
うちの息子を見ても、本当にこの3つで全てを説明してくれているなと感じます。
1. 読む能力が高い。そして大好き。
いちばんの特徴とも言える①を掘り下げましょう。参考文献によると…
・5歳までによく読める子は、ハイパーレクシアの可能性が高い。
・ハイパーレクシアの子の中でも程度の差はあるけど、小学校上がる前に他の平均的な幼児よりも読めている。
だそうです。
こう言われると、多くの子が当てはまってしまいそうですが、ここには条件があります。
まず、親が積極的に文字を教えていないこと。
うちでも、小さいうちから「あいうえお」のポスターをお風呂に貼ったり、本を読み聞かせたりはしてきましたが、ある日突然、道端の看板の「止まれ」や「飛び出し注意」を声に出して読み始めたことがありました。言葉が出るのが遅かったので、たくさん話しかけたくて、自転車や車に乗っている時に「ここは止まれだから止まるよ」など実況するように常に話しかけるようにしてきましたが、特に「これはこう読むんだよ」なんて教えたことがありません。きっと聞いた言葉と、見た看板を照らし合わせて、自分で「この形はこう読むんだ」と判断して覚えたんだと思います。ちなみに、「飛び出し注意」の看板に関しては、特に会話に出した記憶もないのですが、いつの間にか読めていました。さらに、自転車のヘルメットに書いてある自分の名前をサラッと読んだ時にもう「この子は天才か」なんて思ったものですw(当時は自閉症の特性も見られなく、ただただ親として誇らしかったです)
参考文献内では、(英語圏の話なので)、
まずアルファベットを一文字ずつ読めるようになり、次に単語。よくあるのは身近な「マクドナルド」や「ペプシ」、好きなキャラクターの名前などを勝手に読むようになるようです。
時期でいうと、生後18か月~24カ月(1歳半~2歳)くらいにできるようになることが多いそうです。
その後は、自分の周りにある文字を片っ端から読む傾向に。
Ex. シリアルの箱・道路標識・レストランのメニュー・新聞の見出し・広告の文字・スーパーの案内看板・おもちゃの箱など。
(ちなみに、これは新聞紙を逆さまに持っていても読めるそうです。文字を形で判断しているということですね)
うちの息子もスーパーに行くと、天井につるされている棚の番号や商品名を見てよく読み上げていました。
そして、小学生になった今でも、文字はすごく気になってしまって、習い事の体操教室では壁に貼ってある何でもないポスターの文字を読み込んじゃって、先生の話を聞いてなくて、次に何をするか分からなくなることも多々あります![]()
この文献を読んでいて、言葉や文化が違っても、ハイパーレクシアの子の傾向が全く同じであることにとても驚きました。
2. 話し言葉が苦手(聞くのも話すのも)
続いて特徴の「話し言葉が苦手」です。
文献によると、今見てきたように読むことが得意だとしても、音で聞いた話し言葉は理解できていないことが多い、そうです。
確かに、うちの息子も長い文章で指示をしたり質問したりすると、今でも答えが返ってこないことが多いです。なので、なるべく短い文章で聞いたり、数字を絡めたり、長い話になる時は、紙に書いて質問したりするようにしています。
文献によると、
ハイパーレクシアの子は単語を理解するスキルと、その単語がグループになってまとめられた時の理解度に乖離がある
ということです。
また、話しかけられた言葉だけでなく、自分が発する話し言葉も苦手です。丸暗記で学習する傾向があり、これは外国語を学ぶときの過程に似ているということです。
確かにうちの息子も、敬語が多かったり何か違和感のある話し言葉をするのですが、これはどこかで覚えたセリフをそのまま日常生活に当てはめて使い回しているからなのかも、と腑に落ちました。
文字が読めるんだから、言葉を使うおしゃべりが不得意だなんて信じられませんが、ハイパーレクシアの子はこうらしいです。
でもこのことを意識することで、息子とのコミュニケーションが少しスムーズになった気がします。理解することは大事ですね。
3. ソーシャルスキルが普通ではない
最後は、ソーシャルスキルについてです。この特徴は、発達障害全般や自閉症スペクトラムの子の特徴とほぼ同じかな、と思います。
・好きなものに集中しちゃって、周りが見えていない。
文献内の例では、自分のクラスのことはそっちのけで興味がある他のクラスのアクティビティに参加してしまうとか、ショッピングモールでサンタが登場しても後ろにある文字を読んでいるとか。周りがやってるから自分もやる、という合わせなきゃという感覚がないんですね。
他にもリスト化すると…
・アイコンタクトがない
・自己刺激行動、手をヒラヒラさせる、手を叩く、物を回す
・不安感が強い
・珍しいものを怖がる
・大きな音が苦手
・癇癪の頻度が高い。
・変化を嫌う
・独特の好み
・断片的才能(splinter skills)
・丸暗記における学習(rote learning)
この辺りはASDや発達障害の子に多い特徴ですよね。うちの息子も当てはまるものもありますし、全く当てはまらないものもあります。この辺りは個人差がありそうです。
そして特に、リスト最後の3つはハイパーレクシアの子によく現れる特性です。これらは困り事にもなり得ますが、彼らの最大の強みとも言えるのではないでしょうか。
いかがでしょうか?
今まで、自分の子はハイパーレクシアなのかどうなのか、悩んでいた方は確信が持てたでしょうか?
文字が早くから読めることは素晴らしいことですが、それ以外のことで困り事がある場合には支援が必要になります。まずは、このような特徴があることを理解することで、その子にあった最善の支援方法が見つけやすくなると思います。
文献の筆者は心強い言葉を言ってくれています。
“ハイパーレクシアはlanguage disorder(言語障害)であって、behavioral disorder(行動障害)ではない”
自閉症の症状に似ているが、ハイパーレクシアの子は言葉の理解と、表現方法を学べば、この自閉症的な症状は減るか、消える。
変化を嫌ったり癇癪がひどいのも、言葉で表現する方法を知らないからであり、何が起きているか分からない、何を指示されているか分からないからである。
と。
これを聞くと、希望が持てますよね。
最後までお読みいただき、感謝いたします。それではまた次回。
おまけに、おうち療育の一例を。
うちの息子は小学生に上がった今でも「おかえり」と「ただいま」を間違えることがあります。
自分が家にいて誰かが帰ってきたときに「ただいまー」と言ってしまうんです。
そこで、どっちの場面で使うかハッキリさせるために、ハイパーレクシアの文字を読むのが大好きなこと&丸暗記の能力を利用して、文字に起こして壁に貼っています↓
口で注意すると「分かってる!」と反抗するので…![]()
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これは普段過ごしているリビングに。
(本当にいらすとやさんにはお世話になってします)
この2つは玄関の、それぞれの動線で目に入るところに貼っています。ただ最近は自分が出入りする場合は、間違えなくなってきたのでそろそろ剥がそうかなと考えています。
こんな簡単なことが分からないのか、と思っちゃいますが、これも相手の立場に立つのが苦手という自閉症の特性の1つなんですかね?
同じような方はいらっしゃいますか?
<参考文献についてはこちらをご覧ください。>




