- 地球最後の日のための種子/スーザン・ドウォーキン
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植物の種子 そしてその「遺伝資源」を保存する
非常に地味な作業で、研究者さえ敬遠する作業です。
しかしながらこの作業が「世界中から飢えをなくす」大切な作業なのです。
た とえば、現在栽培されている小麦の多くは、品種改良を重ねた種で、世界中で同一種が栽培されているため、ひとつの病原菌が発生すると全滅する恐れがあるの です。1999年にウガンダで小麦に発生した黒さび病は突然変異で生れた新種の病気 「Ug99」で、世界中の小麦に大幅な害を与え、飢餓が蔓延しまし た。
そんな事態に立ち向かうには、様々な品種を掛け合わせて、品種改良を行い、その病害に強い小麦を開発するしかありません。そのときに必要なのは「遺伝資源」なのです。
この時「遺伝資源」の保護のため世界中から種子を集め、北極圏の凍土の地下に200万種の種子が保管されているジーン・バンク設立のために身を費やした植物学者、ベント・スコウマンがこの本の主人公です。
この本はスコウマンの暖かい人柄と波乱万障な人生で、種子を保護するという地味な仕事が魅力的に語られています。
しかしながらひとつの科学者の物語ではすまされない多くの問題を提示しています。
種子を国家の財産とする国家。
種子あるいは遺伝的特徴に特許権があると訴え、それを独占しようとする企業。
品種改良と農薬で世界の飢饉を救った”緑の革命”を否定する、環境保護者。
2007年から2008年にかけて、主に食糧価格の高騰を原因とし、1億1500万人もの人が新たに飢餓に陥りました。現在、世界の飢餓人口は10億人近くにまで上っています。世界の全人口のうち、およそ7人に1 人が飢えているのです。
何を大事するのかよく考えれば、解決する方法もある思うのですが、各国や企業のエゴが障害になっているようです。
引き続き考えたい話です。
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