絶望のプロセス:「怒り」「抑うつ」「悲しみ」を越えて | 心模様とガラス玉演戯(役立つ心理ポイント)

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交流分析やサイコドラマ・心理学について書いています。また、好きな本の引用など。

私たちは、日常生活の中で、小さな絶望をたくさん経験するが、そんなとき、自分の心の動きを静かに見ていると、怒り→抑うつ→悲しみの順に通り過ぎていく質を確認することができる。

例えば、人に何かを頼んだとき、期待して応諾の返事を待っていたのに予想に反して断られてしまった。私たちの心の反応は、「ちぇ!だめか。くそーッ・・・・・・」→「残念だな。頼み方が悪かったのかな。こんなこともあるか・・・・・・」→「まっ、しょうがないな。諦めるか・・・・・・」と進んで行く。この時間は、数秒からせいぜい数十秒の短い時間であるが、やはり怒り→抑うつ→悲しみの連鎖を経る。

この連鎖は、心が怒りの質から離れていく距離でもある。怒りは自分の欲に固執しようとする力であるが、悲しみには自分の欲から離れる力がある。

悲しみの中で、人は自分の古い欲求を乗り越える可能性に触れる。

(「楽しく生きる」髙橋和巳」

著者は精神科医です。
また、この著者が挙げる絶望のプロセスを、簡単に抜き出してみます。

1.無反応の段階
茫然自失してなにも手に付かない状態。とんでもないことが起こったとにんしきするが、それに対してどう対処していいのか全く反応できない状態。

2.否認の段階
自分の人生に限って、そんなことはあるはずがない、何か悪い夢でも見ているに違いない、と抵抗し、現実を自分に合わせて作り直そうとあがく。認めてしまうと耐えられないという気持ちから、否認してしまう。

3.怒りの段階
怒りは、現実を認めざるを得なくなったときに、入り込む最初の苦しみの段階である。

4.抑うつの段階
抑うつとは、自分自身に向けられた怒りによって生まれる。不幸にであった自分を責め、自分の過去の行動を後悔し、他人に迷惑をかけている自分に価値がないと思い込む。

5.悲しみの段階
重く閉ざされた抑うつは、静かな悲しみへと変換される。自分を悲しみ、涙を流せることは、一つの癒しでもある。心は少しばかりの透明感を取り戻す。

6.孤独と愛の段階
悲しんでいる自分の孤独を自覚して、それを癒してくれる愛を求め、それを感じる段階。

7.諦めと希望の段階
最後は、「自分の欲求を諦めたい」という新しい欲求が生まれる段階である。この新しい欲求が、私たちを現実に連れ戻し、新しい生き方を作り出す希望を生む。


喪失感などもそうですが、ある感情の一定のプロセスがあるとき、怒りを感じたり、悲しみを感じたりすることですが、それが正しく行われないと、その問題に長い間苦しめられることがあります。

例えば、自分の怒りを認識できずに、自罰的に抑うつだけを強く感じたりすると、本来的な悲しみが生まれません。つまり、欲求を拒まれた怒りがないということは、自分本来の欲求が明らかにならないので、諦めたり、新たな方法で求めたりすることができない。そうすると、抑うつや悲しみに閉じこめられてしまいます。

適切な感情表現といい、適切な感情の認識といい、なかなか難しいものです。

怖がらず、ときにはゆっくりと諦めずに、自分の感情のありかを確かめてみましょう。

きっと答えてくれると思うから。

 



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