おじさんが残していた煙草とコーヒー。
禁煙してから半年だけど、どうしてもおじさんの煙草が吸いたくて火を付けた。
1本でも吸えば、また元に戻ってしまうのではないかという心配もあったけど
むしろ逆で、もうすでに電子タバコの方に身体が慣れてしまっているようだ。
本物よりも電子タバコの方が美味しく感じられる。
これで、禁煙に対する不安は一切なくなった。
我慢するから辛いのであって、いつでも吸えるけど吸わないという気持ちでやればいいんだ。
今までおじさんに色々な事を教わってきたけど、またひとつ教えてもらったような気がして嬉しくなった。
そして、亡くなる前におじさんが畑で収穫したハッサク。
これはきっと、昔ばあちゃんが苗木を植えたものなんだと思う。
もう、ばあちゃんが作ってくれたものを食べられないんだなって考えると寂しかったけど
毎年食べられるじゃないか…ばあちゃんが育てたこのハッサクを。
これから先ずっと何十年も、ばあちゃんが僕に食べさせてくれるんだ。