E君と3ヵ月ぶりに再会しました。
E君というのは、去年の4月か5月くらいに
1日だけ行ったバイト先で知り合った友人です。
同い年で、偶然彼も漫画家を目指しているという事で仲良くなり
それ以来、ちょくちょく遊ぶようになりました。
が、2週間に1度くらいはうちに来ていた彼が、ある時突然連絡もよこさなくなりまして。
バイトが忙しいものだと思い、僕も特に気にせずにいたのですが
さすがに1ヵ月、2ヵ月と過ぎると少々心配になってきました。
そこで、ある時こちらから連絡をしてみました。
しかし、メールをしても戻ってくるし、携帯に掛けても繋がりません。
携帯を解約したのだろうか。
僕はそう思いました。
でももし、携帯電話を解約したとしても、僕の番号は知っているのだから
家の電話なり公衆電話なりから掛けてくればいいだけの事。
また、僕はE君の携帯の番号しか知らないけど
向こうは何度もうちに来てるのだから、直接尋ねて来れば済む話だ。
一体どうしてしまったのだろうか。
そんなふうに思っているうちに3ヵ月が過ぎました。
そして、ある日
ピンポーン
家のチャイムが鳴りました。
しかし、僕は出ません。
自分は「こんにちは、○○です」と名乗らなければドアを開けない主義です。
名乗らない客のほとんどが新聞や宗教の勧誘ですから。
何度かチャイムを鳴らし、ドアをノックしています。
が、僕は一向に出ません。
それが数回続いたのち、謎の客人は諦めて帰って行きました。
「ようやく帰ってくれたか。なかなかしつこかったな」
ホッとした僕でありましたが、なにか心に引っかかるものがあります。
「新聞屋のおっさんならば、もっと乱暴にノックするはずだ・・・」
「これは、ひょっとすると・・・」
ふと、僕の頭の中にE君の姿が浮かび上がりました。
しかし、すでに謎の客人が立ち去ってから10分以上が過ぎていました。
「急いで追わねば!!」
僕は家を飛び出しましたが、さすがに謎の客人の姿はありません。
E君が住んでいるのは隣の市で、家がどちらの方向かはわかるのですが
おそらく相手は自転車だし、今から追いかけていたのでは間に合いません。
そこで、僕は追うのを諦め、ある場所へと急ぎました。
我々は2人とも漫画を描く人間です。
「もしこれが漫画のストーリーならばどうするか」 僕はこのように考えました。
漫画なら、2人は1番多くの思い出がある場所で再開するはず。
僕は、何度も遊んだ思い出の地「ゲーセン」に入りました。
すると、思った通り、そこにE君がいたのです。
「やはり来たか」 このような顔をして再開する2人。
聞けばE君は、携帯を便所に落とし、僕の連絡先がわからなくなったそうです。
携帯はそのまま解約。
何度も直接うちに来たが、僕が一向に出てくれなかったとも言っていました。
そういえば、ここ最近謎の客人が多かったのはそういう事だったのか。
「郵便受けに手紙でも入れとけばいいのに」
「ああ、その手があったか!」
この方法に気付かないE君もアホなのですが
とにかく、我々は無事に再開を果たし、家の電話や住所を交換するに至りました。
めでたしめでたし。