タクシン氏帰国、首相も選ばれる | 「アジアの放浪者」のブログ

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なんらかのハプニングが起きるかも…と思っていましたが。

昨日(8月22日)、タクシン元首相が15年ぶりにタイに帰国しました。同氏は首相時代の職権乱用などの罪により、合わせて禁錮10年の実刑判決を受けています。そのうち8年の刑期が残っているため、プライベート・ジェットで帰国した同氏は、直ちに逮捕・収監されています。

 

 

 

和やかな表情でメディアの前に姿を現したタクシン氏。ドンムアン空港に到着後、同施設内に常設されているマハーワチラロンコン国王陛下の肖像画の前で一礼。この行動、「国王恩赦」を狙っているとの観測を、さらに強化しています。

 

 

その後タクシン氏は、厳重な警備の中、収監先に向かいました。

 

 

収監先は、バンコク拘置所(Bangkok Remand Prison)内の医療施設に設けられた特別室。

現在、タイのメディアがなんとかして室内の画像を入手しようと躍起になっているようですが、今のところネットには出回っていないようです。でもなんとなく、高級ホテル並のエアコン付き個室が用意されているような気がしています。

 

ほんとうに帰国するのか、という疑念もありましたが、ついに帰国したタクシン元首相。

 

一方の首相指名選挙。

5月の総選挙で第2党となったタクシン派、貢献党が推薦したセター氏が、予想通り首相に選ばれました。

上下院総会(定員は合わせて750人)での信任投票。途中、野党となる前進党所属議員が発作を起こして倒れるというハプニングがあり投票が一旦中断しましたが、セター氏は過半数を超える482票を獲得し(下院330票、上院議員152票)、首相に指名されました。今後国王陛下によって正式に任命される見込みです。なお参考として、反対は164票。下院152票、上院12票で、棄権は81票で、下院13票、上院68票でした。

※先述のとおり、上下両院の定数は750ですが、上院議員1人が先月辞職したため、実際には749人です。そのうち昨日の首相指名選挙のために登院・投票した議員は727人(上院232人、下院495人)でした。

 

 

首相を選ぶのにかなりの時間を要しましたが、やっと、セター氏が国王の任命を経て、第30代総理大臣に就任する見込みが立ちました。これにより一般市民の中に、「30」に因む宝くじを買いあさる動きが生じています。この社会現象は、いかにもタイ。

 

「30」の宝くじを買いあさるだけならいいのですが。

NIDA(国家開発行政研究所)の世論調査によれば、64%がタクシン派政党と親軍派政党の連立政権に反対。貢献党が下院での多数派工作に成功しても、国民がそれを喜んで受け入れている状況とはほど遠い…。それにセター氏は、かつて社長を務めていた不動産会社での不正が指摘されています。

 

タクシン氏が帰国し、収監され。

ようやく首相が指名されても。

タイはまだまだ、大きな火種を抱えているようです。