現代版「通行手形」 | 「アジアの放浪者」のブログ

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これは現代版「通行手形」といえるのかも知れません。

 

先月中旬頃から、タイのメディアが警察庁高速道路警察部を蝕んでいる長年の汚職慣行を報じ始めました。

それは、本来は積載量オーバーで摘発されるべき大型トラックが、あるステッカーをフロントガラスに貼っているだけで、高速道路警察部によるチェックをすり抜けられるというものです。このステッカー。地方ごとに(高速道路警察部の管轄地域ごとに)デザインが異なるそうです。下の報道では、3種のステッカーが報じられています。

 

 

大型トラックを保有している運輸業者が、高速道路警察部に賄賂を支払うことで、積載量超過を見逃してもらえる特別なステッカー。ダムロンサック警察庁長官はこの事実を認め、同部の部長であるエカラット・リムサンカス警察少将を更迭。警察庁汚職捜査部長のジャルーンキアット警察少将を高速道路警察部の臨時部長に任命しました。この人事の意図するところは、汚職の一掃に違いありませんが、はたしてジャルーンキアット少将がどこまで腐敗を除けるか。なにしろ、何十年も続いてきた慣行だそうですから。

 

実はこの情報。

先の選挙で当選した「前進党」の下院議員が、最初にSNSに投稿・発信したものです。輸送業者のあいだでは当然のことだったのでしょうが、それがこうして公にでるようになったのは、タイ社会が変容していることに他なりません。

 

この前進党が政権を握ったら、タイの腐敗慣行も減っていくかも知れません。期待したいところですが、逆に前進党自体がこうした古い慣行に巻き込まれていくのかも。おそらく、両方のはたらきが生じるのでしょうが、タイにまだまだ蔓延っている汚職体質が、少しでも改善されることを願っています。

 

下の写真はダムロンサック警察長官。東北部を管轄する第3警察管区長時代に、麻薬犯罪防止運動で全国の注目を集め、警察庁長官にまで昇りつめた人物です。米国FBIの犯罪捜査コースも受講した経歴があります。