ようこそ、中国からの団体さん | 「アジアの放浪者」のブログ

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昨日(2月6日)、カンボジアのプノンペンからタイのバンコクに戻りました。

 

バンコクのスワンナプーム空港では、中国人団体観光客の集団がいくつか到着していて、入国審査カウンターが大混雑。約1時間並んで、ようやく入国手続きを終えることができました。あとになって知ったのですが、中国政府が一部の国に対し、団体旅行の渡航を認めたとかねてより報じられていましたが、2月6日、まさに昨日からその方針が施行されたんですね。洗礼を受けました。

 

中国 国外への団体旅行を一部解禁 中国各地の空港にツアー客 | NHK | 中国

 

中国政府が団体旅行の許認可権を持っているところが中国らしさですが、今回、団体旅行が解禁された国はタイ、ロシアなど20ヵ国のみ。日本や韓国は対象になっていません。個人客が観光で渡航することはできても、団体としては訪日できない、という制限を設けるのも中国らしさです。

 

もちろん中国政府による渡航緩和、タイ政府や観光業界は大歓迎しています。

最近の報道では、中国国内における新型コロナウイルスの感染爆発がピーク越えをしているようですから、タイで感染が再拡大する懸念も減少しています。それならば、経済的恩恵が大きい中国人団体観光客の来訪を、歓迎しない手はないわけです。

 

「Two Lands, One Heart、中泰一家」。

中国人観光客を歓迎する気持ちとして、タイ観光業界が標語にしている言葉です。

 

タイ観光庁のユタサック長官によれば、6日だけで中国本土から13の航空便が、タイ国内の各空港に到着するそうです。それでタイ経済が活性化するなら、それはそれで喜ばしい。一昨日まで滞在していたカンボジアでは、アンコールワットを抱える観光地シエムリアップの衰退を、いやほど耳にしていたからです。また滞在していたプノンペンでは、行きつけのお店がいくつか閉店しているのを目撃したからです。

 

シエムリアップやプノンペンで事業を行っていた日本企業や個人商店も次々と撤退。カンボジアの在留日本人数は、2020年の5,057人をピークに、2021年は4,502人、2022年は3,363人と大きく減少しています。タイも2021年は82,574人でしたが、2022年は78,431人と、8万人を切りました。外務省が公表している「海外在留邦人数調査統計」のリンクを貼っておきます。

 

100436737.pdf (mofa.go.jp)

 

日本人は、商売がうまくいかなければ自国に帰国するという手段がありますが。それは日本が生活保護などのセーフティーネットがそこそこ充実している国であるから。カンボジア人やタイ人は、経済的に困難であっても自国に整備されているセーフティーネットは皆無に等しく、だからといって、そう簡単に国外に逃避することはできません。自分の力で生きていくしかないのです。

 

それを思えば、まとまった金を落としてくれる中国人団体客が増えることは、経済が回り始めるひとつのきっかけ。

マナーが悪い、態度が横柄、わがままな注文が多いといった批判の声も聞こえますが、彼らの来タイを心待ちにしている人もいるのです。生きていくために。