いやぁ、タイの一部仏教原理主義者たちがまたまた批判を展開しています。
仏教に「原理主義」があるのか知りませんが、私が指摘したいのは保守層、それもかなり強硬な保守層です。
「ブッダ・バー・パリ(Buddha Bar Paris)」という会社があります。フランチャイズでバーやレストラン、ホテルを経営している会社で、特にバーでは、大きな仏像を店内に飾っていることで注目されています。
そのブッダ・バー・パリが、アラブ首長国連邦にあるヒルトン・ホテル系列の超高級ホテル、ウォルドルフ・アストリア・ラスアル・ハイマー・ホテル(Waldorf Astoria Ras Al Khaimah Hotel)内にラウンジをオープンしました。もちろん、ブッダの大きな像を飾って。
この写真がネットで出回り、再びタイの一部仏教徒が激怒。ヒルトン・ホテルをボイコットしようという運動が展開されています(しかしどうやら、あまり盛り上がっていないようです)。
「仏像は飾り物ではない。敬意を表することが常識だ」。
一時期、タイのスワンナプーム空港の入国審査カウンターに、このような張り紙が掲示されたことがあります。敬虔な仏教徒は、仏像が商業目的に使われるのを嫌うようです。ましてや、ブッダが僧侶たちに戒律で禁じている飲酒をしているまさにその場所に仏像が置かれているのですから、彼らの反発は相当強いものがあるでしょう。
たしかに、仏像を酒場に置くというのはいささか行き過ぎの感があります。
でも、敬虔な仏教徒が真剣に取り組まなければならない問題は、外国の酒場にある仏像のことではないでしょう。
青少年の間にも麻薬がはびこっている現実。
十代の若い子ども(男女とも)を、地元の実力者や名士たちの性的接待にあてがっていること。
学校にも行けない貧困層の子どもや、その原因のひとつになっている親たちのギャンブル。
こうした社会問題に、一部の強硬派仏教徒たちが黙っている理由がよくわかりません。
仏像を守ることが大切のか。ブッダの教えを実行することが大切なのか。
10月13日はプミポン前国王の崩御された日であると同時に、雨期の間寺院に籠っていた僧侶たちが、雨期が開けていよいよ布教に歩いていくことを祝う「オーク・パンサー(出安居)」でもありました。この機会に、ブッダの教えをタイ社会に活かすことについて、タイ人がもっと真剣に取り組まれればいいなぁ、と思っています。