って、たいしたもんだと思う。
夫が出張中は私も忙しくて、なかなか彼のようにたっぷり時間をかけてTABI
と遊んでやることができなかったので、噛み噛みオヤツをたくさん買ってきて
あの子に与えていた。夢中になって噛んでいる間は、とりあえず静かにして
いてくれる。牛骨も与えたが、それだけでは足りなかったのだ。
そのオヤツの中でTABIが好きなのが、Texas Toothpickと呼ばれる、牛の
尻尾の皮で作ったやつ。豚耳よりも軽く、臭いもキツクないし、とても食べ
やすいようだ。他のオヤツは飽きるとそっぽ向いてしまうが、これだけは
いつも喜んで食べる。
だが、先日ついにTABIはこれまで拒否したのである。
これも飽きちゃったのか、と思って棚に戻したが、袋を見せると喜んでクンクン
ニオイをかいでいる。別の一本をとって与えてみると、目をキラキラさせて
くわえて自分のベッドへ持って行き、齧り出した。しかし、翌日、例の拒否
した一本を出すと、またもやそっぽを向く。
夫が帰宅してからその話をすると、「俺にまかせろ」と自信たっぷり。
例の拒否オヤツを手に、かくれんぼや持ってこいなどで二十分ほど遊んでやり、
やっとTABIに食べさせることに成功。
しかし、一生懸命齧っているTABIを見て気がつくと、そのオヤツの中間
部分が折れている。手に取ってみると、中心部に固い骨が入っている。
他のは皮だけを丸めて作られているのだが、この一本だけは何かの間違いで骨が
入ったまま加工されてしまったらしい。乾燥した固い骨を齧っているものだ
から、歯茎が傷ついたらしく血が出ている。すぐ取り上げ、捨てた。
拒否の理由は、これだったのか。
「いつものやつと、なんか違う」ってことがわかって、そっぽを向いたのか。
二、三年前の毒入りペットフード事件の時も、異変に気づいて口をつけなかった
犬達は助かり、気づかずに食べてしまった子達は不孝にも命を落とした。
こうしたカンは、野生では命を守るために絶対に必要なものである。
「単なるワガママ」と片付ける前に、人間は犬の直感を信じるべきかもしれない。