日本の友人が、録画して送ってくれた。
全く持つべきものは友人である。早速、少しずつ観ている。
もともと倉本聡のドラマというのは、あまり好きじゃない。
出てくる人がみな善人で、最後は感動の渦、っていう設定があまりにウケ狙い
で、初回を見ただけで最終回が予想できる。善人ばかりといえば「寅さん」
もそうだが、あれはコメディだからいいのだ。
でも今回のは緒形拳の遺作となってしまった作品なので、友人に頼みこんで
録ってもらった。やっぱり、ドラマの中の彼は死相が出ている。どんなに
つらかったろうと想像すると、悲しい。
さて、不治の病を持った医者が主人公なので舞台は今のところ病院。
陰の大物株屋が膵臓癌で手術をするのだが、本人は癌だと知らない。これはまあ
日本ではよくあること。開けてみると転移があり、癌は摘出できずに腹腔神経叢
ブロックだけして閉じる。痛みを止めるためだ。ここでビックリしたのは、
患者の唯一の家族らしい娘に、「本当に癌はとれたんですか?とれずに閉じた
んじゃないですか?」と聞かれた麻酔医が、「ちゃんととれましたよ」と答え
ていることだ。
家族にまでウソ?!これはちょっと、アメリカじゃあ有り得ないだろう。
訴訟問題になる。患者は死んだらそれまでだからいいが、家族は生活があるし
お金と心の準備がいる。余命がわからないと困る。うちの親のときはどの医者
もハッキリ言ってくれたけどね。
さて、昔別れた父親が死期近くなり子供に会いに行く、というプロットは
よくある。「House」のエピソードでHouseの弟子Chaseの父がオーストラリア
から息子の勤務先の病院へ訊ねて来るのがある。Chaseは子供の頃両親が離婚、その後
母はアル中で死んだ。だから父を憎んでいる。ドラマ後半で、Houseは父Chase
の秘密を見抜く。「あんた、末期癌だろう。それで最後に息子に会いに来た」
父Chaseは自分はあと三ヶ月の命だが、息子には言うなと口止めする。
頑なな態度の息子Chaseだが、しかし、父は自分と同じ医師となった息子を
誇りに思っているのだ。そして去って行く父。
このアッサリとした終わり方は、湿っぽくなくてかえって良かった。
国により風土により、ドラマの展開はこうも違うのである。