お向かいのうちがまた新車を買ったらしい。
彼らは二十代後半から三十台前半の夫婦で、赤ちゃんと幼児の二人の子供が
いる。あの若さでこの住宅街の一戸建てを購入するということは、旦那さんは
高収入まちがいなし。毎日出勤する様子もないので、いわゆるドットコム
ビジネスで儲けたクチなのか。麻薬の密売だったりして(笑)
彼らは、この界隈の誰もがするように、車を何台も所有している。
旦那さん用のピックアップ、奥さんの買い物用のハッチバック、そして家族で
出かける時用のミニバン。そして今度はフォードのSUVだ。夫婦二人でそんなに
どうするんだろう。それも全て新型だ。車の保険代だけでもすごい金額だ。
車好きなアメリカ人にとって、車を買うときの動機は「必要かどうか」では
なく、「欲しいかどうか」なのだ。TPOに合わせて洋服やアクセサリーを替える
ように、車も変える。私の犬友達は、犬を連れてアジリティに行くときは
ジープで、パーティーに行くときはメルセデスだ。どこへ行くにもステーション
ワゴンの私たちとはエライ違いである。
ななめ向かいの家族は、高校生の娘二人にそれぞれ通学用の車を買い与え、
家族所有の車が五台を超えたので、駐車スペースのより大きな住宅を新築して
引っ越していった。もとの家の車庫には車が三台しか入らないからだ。
洋服箪笥が一杯になったとき、「いらない洋服を整理してスペースをつくろう」
とする人と、「もう一つ大きなクローゼットを新調しよう」という人がいる。
この近所のアメリカ人たちは、絶対に後者の方である。地球温暖化対策なんぞ
クソくらえ!ここはカリフォルニアじゃねえんだ、環境問題なんかどうだっていいのさ!
でかい車でガンガン走って、早死にしてやる!ってタイプの人々ばかり。
ま、それも人生ですね。