深窓の令嬢 | TABI天使日記

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天使になったカナダのアジリティ犬と、ママ・パパの日常

源氏物語の姫君は、一生屋内に閉じこもって一般に姿を見せない。

顔を知ってるのは、親とお付きの女房、そして夫となる男だけだ。
高貴な身分の女性は、そのように大切に育てられたのだ、と言われる。
だが、本当の理由は何なのだ?
そこまでして「隠す」必要はどこにあるのだ?

全員とは言わないが、当時の姫君たちは近親婚を続けた結果生まれつき傷害を
持ったものが多かったに違いない。古代から中世まで、王家や貴族階級は権力を
守るために叔父・姪などの結婚はもちろんのこと、異母兄妹同士の結婚もあり、
それが何世紀にもわたって続いた結果、血が濃くなって先天性異常が多発した
だろうことは想像にかたくない。それでも、高貴な身分というだけで市場価値は高い。
そこで、側近たちは姫君を奥に閉じ込め、人目にさらさないようにして縁談を
まとめる努力をしていたのだろう。

源氏に登場する「末摘花」がいい例だ。
彼女はやんごとなき宮家の出だが、焦がれた源氏が一夜をすごした翌朝、初めて
彼女の姿を見て愕然とする場面がコミカルだ。醜女の代名詞となってしまった
姫だが、おそらく紫式部はこうした事を頻繁に話に聞いていたのだろう。
また、女三宮も身分の高い女性で源氏の妻となるが、源氏は彼女のあまりの幼さに
失望する。世間知らず、というより知能傷害があったのだろう。

源氏に登場する女性たちは、源氏の生母を始めとして身分の低い「血の薄い」
ものほど美人で聡明、趣深く描かれている。受領の娘だった紫式部の私的好みと
見ることもできるが、それよりも当時の状況を正直にレポートしたと考える
ほうが自然な気がする。遺伝学的に、だ。

史実にもそれが現れている。
清寧天皇は古代の大君で、生まれつき髪が白かったため白髪命と呼ばれた。
いわゆるアルビノだ。子はなく短命だった。

Redneckというと、アメリカ南部の無学な農園労働者のことであるが、これは
近親相姦を行うやつら、という軽蔑の意味合いを含む。近親交配により異常児が
生まれることを、遺伝学のない昔でも人々は経験的に知っていたのだ。
たとえば↓のような。
http://leerburg.com/Photos/line-breeding.jpg

血統の良さ=深窓の令嬢=Redneck
科学的な目で源氏を読むと、またおもしろさが違う。