1、 「配偶者居住権」において、小規模宅地等の特例はどう扱われるのか
当初、明確ではなかったが、だんだんに明らかになり、
財務省から、「配偶者居住権の創設に伴う所要の措置」が発表され、
大体、分かってきました。
その記述を拝見すると、
” この配偶者居住権は、借家権類似の建物についての権利とされている
ことから、配偶者居住権自体が小規模宅地等の特例の対象となることは
ありません。
他方、配偶者居住権に付随するその目的となっている建物の敷地を
利用する権利(敷地利用権)については、「土地の上に存する権利」に
該当するので、小規模宅地等の特例の対象tなります。”
以上のように明確に表現され、令和2年4月1日に向けて徐々に法令が
改正されていくので、、小規模宅地等の特例の適用は大丈夫でしょう。
2、小規模宅地等の面積調整
本来、配偶者が居住している建物の敷地は所有権を取得すれば、全て
が小規模宅地等の特例の対象となる筈ですが、
配偶者居住権が設定された場合、面積調整が必要になります。
財務省は次のように説明しています。
例、
1、土地 更地の相続税評価額 4000万円 200㎡
2、子が土地、建物を相続
3、建物に配偶者と子が居住
面積調整
敷地利用権(配偶者) 1000万円
所有権(子) 3000万円
200㎡×1000万円/4000万円=50㎡
200㎡×3000万円/4000万円=150㎡
2nn㎡<330㎡
----居住用の限度面積を満たす
3、小規模宅地等の特例の適用要件
上記の例は、配偶者と子が同居しているので、共に、小規模宅地等の特例の
適用資格がありますが、
子が、同居していないと、小規模宅地等の特例の適用は配偶者の50㎡のみ
となります。
特定居住用宅地等の特例の適用要件を念の為、挙げてみますと、
1、配偶者
配偶者は無条件で適用あり
2、同居している親族
保有、居住の継続要件あり、
3、家なき子
家なき子の場合、次の条件があります。
イ、被相続人に配偶者がいない、
ロ、被相続人と同居している相続人がいない、
ハ、被相続人が亡くなる前3年間、日本国内にあるその人又は
その人の配偶者の所有する家屋に居住したことがない、
二、3年以内に3親等以内の親族の家に住んだことがない、
ホ、3年以内に特別な関係の法人が持つ家に住んだことがない、
ヘ、相続開始時に住んでいる家を過去に所有したことがない、
平成30年の改正によって一層厳しくなりました。
これらの条件がありますので、配偶者居住権が設定された場合
家なき子に小規模宅地等の特例の適用はありえないことになります。