なかなか面白かったです。

間違いなく、昔よりも自動翻訳の技術は進歩しました。

 


正直、受験界隈で「教科としての英語」が過剰に求められている昨今の風潮が、私は気に入りません。

私自身、今の職場では日本語以上に英語をよく使うので、そりゃー、英語はできないよりできたほうが便利というのは日々実感してはいますが、日本人が英語をマスターするのにかける時間を、別の学問にかけたほうがいいんじゃないか?国全体としては機会損失なんじゃないか?と思っています。

 

どの道であっても「その道のプロ」になれば、英語ができなくたって通訳・翻訳を入れれば済む話だし、今の時代、自動翻訳の技術が飛躍的に高まっているのだから、それを利用しない手はないし、通訳や翻訳の代理はいくらでもいますが、「その道のプロ」には代理が効かないからです。中途半端な「英語屋さん」を増やしてどうする?と思います。

 

最初からAI翻訳を使うというベースで考えれば、地道な努力で英語力をつけるよりもよほど楽に英語を使えるようになります。そして、その使い方が本書に集約されています。

 

英語が得意な人には当たり前の技術ですが、苦手な人には目鱗かもしれません。

そもそも、主語を省く日本語という言語が、英語への翻訳を難しくしているし、受動態を無駄に増やして読みづらい英文にしてしまう。時制の扱い(現在・現在完了・過去)や、冠詞の扱い(A・The・複数)・適切な名詞の選び方(Car, Vehicle, Automobile)など、AIで判断しきれないものは人間がするしかないけれど、その手前まではAIをうまく活用すればいい。主語が頭でかっかちになりすぎたらIt is/There isから始めればいいけど、そうでないならまどろっこしいから避けるべき・・・などなど。

 

逆に言うと、AI翻訳に頼る前に、まずは分かりやすい日本語への組み換え能力が大切で、そこから時制・冠詞・名詞の選択を誤らなければ、英作文力が飛躍的に伸びるとも言えます。英語の初期学習の教育現場にAI翻訳を持ち込むのは、毒にも薬にもなるかもしれず、諸刃の剣ではありますが、無視し続けるわけにもいかないでしょうね。