「あれから、キュヒョンと会えた?」
「ぅん。けど…」
たどたどしく、あの日の出来事を話した。
「…ねぇ、なんでキュヒョンに電話したの?」
「……もどかしかったから。」
お猪口を口に運んで、お酒を口の中で転がすとポツリといった。
「あの時、お前誘ったの、半分は冗談だったんだ。」
「…?残りの半分は?」
目の前の焼き場の串をみながら、一瞬固まるソンミン。
「…本気だった。」
そうして、自分で酒を注ぐとグイッと飲んで続けた。
「お前のこと、忘れられなかったんだ。もし、お前と再会して、結婚もまだなら、彼氏がいても奪うくらいの気持ちでいたんだ。でも、まさか、相手がキュヒョンなんてな。親友以上の、可愛い弟の女なんて、俺には奪えなかった。」
隣の私を微笑みながら見て、私のお猪口が空いてるのを見て注ぐ。
「あの日、キュヒョンが不機嫌になったのは俺のせいっていうのは、すぐ分かった。お前なら分かるでしょ?俺が勘が鋭いって。」
コクリと頷いて、お酒を啜る。
「奪っちゃイケナイ!って分かってても、お前を奪いたいって欲求にかられたよ。でも、ダメなんだって、無理矢理言い聞かせてその日はお開きにさせたんだ。」
黙ってソンミンの話を聞いていたら隣の私の目をみて、真剣な眼差しで答えた。
「キュヒョンのヤキモチで泣きそうな顔して元カノの相談を聞けるほど、俺、できた男じゃなかったみたい。」
「ソンミン?」
「お前が初めてがまだって、俺のせいで踏ん切りが付かなくて、しなくてもいい喧嘩したって聞いたとき、今なら奪うチャンスなんじゃないか?って。」
優しく頭を撫でて、謝るソンミンは傷ついた子供のようだった。
「でも、お前の手を引きながら、キュヒョンの事がチラついて、あの時、キュヒョンに俺を止めて欲しくてそうメールをしたんだと思う。」
少しの間、空気が止まった気がした。
「玄関先でね、キュヒョンと目が合ったんだ。そう思ったのは俺だけかな?その時、心の中でやっぱりダメだって。キュヒョンができないなら、お前にそう仕向けなきゃって思ったらさ。」
お前から気づいてくれた。って、ごめんな。って、少し嬉しそうに答えた。キスマークも、付けるつもりはなかったって。
「もう、二度と離れるな。俺は元カレとして、キュヒョンの兄貴として、お前たちの幸せを今は心から願ってるから。もう、揺らいだりするな。いい?約束だよ?」
「でも、あれから、キュヒョンと連絡がとれなくて…。もう、ダメなのかな…」
少し弱音を吐くと、頭をポンポンってソンミンは時計を見ながら答えた。
「俺さ、謝ることがあるんだ…」
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あれから一週間。
キュヒョンは帰ってこなくて、一度も会ってない。
間で一度だけ電話してみたけど、すぐに留守電になって、言葉に詰まった。
「…キュヒョン?ごめん、ね?もう一度会って、ちゃんと話したい。」
それだけを、メッセージに残して。
お腹の痛みは気づけばなくなって、仕事もあれから1日休んで翌日には復帰した。
道端で偶然、ヒチョルに遭遇して少し怒られたけど、また直ぐに笑顔になって「…落ち込んではいるけど、元気だから。今はほっといたらいい。」って意味深く残して、また飲みに行こうな!と、肩をポンってして、別れた。
もう、仲直りできるか分かんないけど、ワイン買って帰ろうかな。
そんな風に、トボトボ行きつけの専門店でキュヒョンの好きな銘柄の赤ワインを買った。
「…あれ?」
会計を済ませて出口へ振り向くと、ソンミンがいた。
アナタは昔からそう。
私が、私の心がぐちゃぐちゃになって、どうしていいか分からないときに、そうして、現れる。
「…ソンミン」
「また、会ったね。それに、浮かない顔してる…」
ソンミンが微笑みながら頬に触れると、無意識にビクッてなって、ソンミンが察したのか直ぐに手は離れた。
「ごめん。そうだった…」
ソンミンから、「少しいいか?」って誘われて、私もソンミンに言いたいこと、聞いて欲しいことがあったから、私たちが再会した居酒屋に行った。
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あれから、精神的にも、肉体的にもショックで気を失った私。
ふと気がつくと、気を失ったというよりも眠ってしまったみたいで、起き上がるとズキンっと腹部に痛みが走った。
あぁ、夢じゃないんだ。
まわりをみてもキュヒョンの姿はなくて、キュヒョンに手渡したはずの黒のスウェットを着せられていた。
「キュヒョンの、私には大きいよ…」
痛いのを堪えて立ち上がってキッチンにいくと、ラップされた一人分の食事と、淹れたてのコーヒーがちょこんと、カウンターに置いてあった。
まだ、いるの?
そうして、部屋を見渡すと、夕べ着ていた私の服が洗濯されて干してあって、散らかった部屋もよく見れば片付けてあった。
「…キュヒョン?」
痛むお腹を撫でながら、バスルームに行ってみたり、トイレみたり、探すけどいない。
さっき、出たのかな?
せっかくだし、食べよう。
食べなきゃって、そうしなきゃいけない気がした。
一口、また一口と食べて、もうでないと思った涙はキュヒョンの苦いフレンチトーストのせいか、甘いコーヒーのせいか分からなくて、食事を眺めても視界は歪んで見えなかった。
「…っ、キュヒョンのバカっ」
その日は痛くて、動けなくて、ずっと家にいた。
今は会わない方がいいんだよね?
でも、謝らなきゃ。
キュヒョンの匂いがするスウェットに包まれて、ゴロゴロしながらどう謝ろう。と、考えてた。
頭のなかぐちゃぐちゃだけど、それくらいは分かる。
私の軽率な行動で、キュヒョンを傷つけたくらい。…分かる。
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ココに入れたら、もう引き返せない。
これで、別れたとしてももう、構わない。
もう、ヌナは俺のじゃないし、俺、今もヌナを傷つけてる。
ごめんね。
優しくいてあげたかったけど、もう無理。
ヌナが好きすぎて、俺、おかしくなっちゃう。
だから、さ。
これが最後。
最後くらい、こんな形でも、抱かせて。
最初はヌナので思うように入らなくて、すべってしまった。
ヌナが恐怖に怯えて、やめてと泣くけどもう、ヌナの声すら遠い。
「…はっぁっ、ぃったぁ」
もう一度、ヌナの奥へと挿れた。
途中、ブツッて何かを突き破るような感覚が俺にあった。
けど、うっすらとしか記憶にない。
ヌナがまた泣いてる。
それに、苦しそう。
ヌナが痛いって…
キュヒョン…って…
言うんだ。
「ヒョンには、気持ち…よくして、もらってんの?」
そう言った途端、ヌナの目からポロポロ、ポロポロ。涙が溢れて、止まらなくて、俺にバカって。
あの感覚はもしかして…
「ヌナ、初めて…だった、?」
思わず動くのをやめて、繋がってる所をみるとヌナからジワリと血が滲んでるのが見えた。
俺、何したんだ?
え?だって、ヌナ…
「…ヒョンと、してたんじゃ…?」
「だからぁ、っ…シテナイってばぁ。」
え?だって、ヌナ…
なん、で?
そのあと、頭が付いていかなくて俺がどうしたとか、ヌナがどうなったかなんて、どうやっても思い出せなかった。
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女の体なんて分からない。
傷つけないように探っても、ヒョンのものはでてこない。
ヌナの顔を見ると涙を流しながら「やめて」と俺の名前を呼んでいる。
なんで?
なんで、ヒョンはよくて俺はダメなの?
そう思うと、悔しさと怒りが込み上げてきて、ついにヌナに捲し立ててしまっていた。
「やめてって、ソンミニヒョンはよくて…どうして、俺はダメなんだよっっ」
勢いよく、自分の体を必死に守るヌナを仰向けにさせて覆い被さる。
「ねぇ、ヒョンからお前がヒョンと一緒にいるって、メールきたよ。見せようか?お前の電話のあとにだよ?どういうこと?俺に見せつけたかったの?俺が頼りなかったから?俺がヤキモチやいたから?俺が無理矢理しようとしたから?俺が…俺が、年下だからっ?」
俺に包容力がなくて、元カレに再会して揺れたの?
あの時、ホントは何の話してたの?
答えてくれよ。
「キュヒョン…私、ソンミンとシてないよ?」
なんで今になって言うのさ。
なら、なんで付いてったんだよ。
「…嘘だ。」
何も信じられない。
ヌナ、信じさせて?
俺を信じて?
突き放してもやっぱり、ヌナが好きで大切で仕方ないのは変わらないみたい。
でも、ヌナも俺も許せないことがあって、仕方なかったのもホント。
こんなことになるくらいなら…
そうしてヌナの膝に触れて、意を決したように滲む視界のままヌナを見つめた。
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