夕べ、ジョンスに部屋まで運んでもらったときの、あの数分が俺の中でぐるぐる渦巻く。
なんで、アイツ…
キスしたんだ?
そのまま毛布でもかけて、部屋に戻ってくれれば俺の気持ちなんて吐きたいだけ吐いたのに。よりによって、ジョンスがでてきて運ぶし…
それに、未だあの言葉が気になる。
寝たふりを決め込んで、ベッドに横たわらせるジョンスが俺にした耳打ち。
「ホントに大事なものは、離れてからじゃ取り戻すのも大変だぞ。早く気づけ。じゃなきゃ…」
俺が起きてるの知ってて言ったのか?
結局、眠れなくなって、アイツのキスのせいで熱くなる顔がなんだか、やり場がなくて朝早くにさっさと出社した。
スタジオに着くと、今日の打ち合わせの為に早く着ていたアシスタント。
小柄で、線が細くて、いつも俺のあとをチョコチョコ着いて歩く。
コイツを始めとしたスタジオのスタッフは、みんな俺のことをヒニムと呼ぶ。俺が呼べといった訳じゃなく、気軽に呼ぶのが恐れ多いとかで…。
だから、俺をヒチョルと呼ぶあの二人に勇気がある。と、言われるのが実は嬉しい。
羨ましいか?ってね。
俺を名指しで…ヒチョルって呼んでいいのは、あの二人だけだ。
特別な女と、特別な男。
……なハズなんだけど。
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