「…なぁ。」
腕のなかで、反応して上目遣いで見上げてくる。
ホントは目をあわせたいけど、先に言いたいこと言わなきゃ…な。
「なに?」
「一回しか言わないから。よく、聞いとけ。」
コクリと頷いて、聞く姿勢に直す。
そんな姿を確認して、息を飲むと吐きながらポツリ。
「…俺、ガキっぽいし。口も汚いし、頭も言い訳じゃないけど。何が良くて、何が悪いとか。間違ってるとか、分かってるつもりだ。」
つい、お前を抱き締める手に力が入る。
「俺の欠点は素直じゃない所だ。」
「…知ってる」
クスクス笑って、でも、聞いてくれるから、少し口許が尖ってたのが綻ぶ。
「だから、一度しか言わない。」
お前の息を飲む音が聞こえた。
俺も、ただでさえ強くつかんでる手に更に力が入って、お前が痛くないか気になった。
けど、そんな余裕もなくて……
「ずっと、気づかなかった。知らなかった。これが、人を好きって、愛してるって気持ちなんだな。どんなに、苦しくても俺のために嫌な顔ひとつせず、密かに尽くしてくれてた。なのに、お前を特別って言いながら取り巻きの女たちと同じことをお前にしてた。俺、ホントにサイテーな男だよ。お前の優しさの裏に何があるかなんて、知ろうとも、受けようとも、ハッキリもせずに。」
あぁ、俺、何いってんだよ。
はっきり、言えよ。
「…ごめんな。」
それまで、じっと聞いてくれてたお前に、目をあわせて謝る。
それも伝えたい。
けど、口が上手く回らない。
こうなったら…
「ジョンスみたいに、気の聞いたセリフが出ねぇから。はっきり言うからな。俺……」
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一睡もせずに、ただ、お前の側に居たくて、ずっと抱き締めてた。
何も考えなかった訳じゃない。
やっと、お前が俺にとって命をかけてもいいと思うほど、好きな女だって…気づいたよ。
俺が子供の時から、持ってたこの気持ちが…
「…好きって気持ちだったんだな。」
頬に張り付く長い髪を鋤いてやり、露になる眠るお前の顔。
気づけば、眠ってるのを良いことに、触れるだけのキスをしてた。
「…ん。」
慌てて離れると、眠りから目覚めるお姫様。少しボーッとしてる。
「…ヒ、チョル?って、きゃぁっ!!!!!!」
カーテンの隙間から漏れる朝陽に、起き上がるお前の裸のまま姿が照らされて、慌てて隠す。
「…ナニもしてねぇよ。隠す必要、ねぇだろ?今さら…」
「だ、だってぇ。夕べ言ったじゃん…」
シーツをまとって、頬を膨らます。
そんな姿も今じゃ愛しい。
「熱、下がったのか?」
横になったままお前の額に手を伸ばすと、少し屈んで触らせる。
「ん。下がったみたいだな。…ほら、こっちこい。」
まだ、手放したくなくて掴んだ細い腕。
痛くても、きっと尚更離せなくなる。
俺、こんなにも束縛したがりだったんだな。
そうして、掴んだ腕ごとお前を俺の中にしまいこんだ。
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なんで……
なんで、そうなるんだよ。
少しずつ、自分の気持ちが見えてきたのに。
お前はなんで、俺の手をすり抜けてくんだよ。
バスルームの扉の前で頭を抱える俺は、僅かにアイツの涙を啜る声が聞こえた。
忘れてなんて、ホントは嘘なんじゃないのか?
何としてでも顔を合わせて、白黒ハッキリさせたくて扉の手すりを掴んだ。
「…っ、開けるぞ!」
有無も言わせず勢いよく扉を開けた。
そこには、一糸纏わぬお前の綺麗な体があって、涙で泣きじゃくるお前は目を赤くして俺を見た。
「…なぁ…」
口火を切ろうとした瞬間、崩れ落ちたお前。
慌てて支えたけど……
「おいっ!どうしたんだよ!っおい!」
ペチペチと頬を叩いても、息も荒く体が熱い。
苦しそうにうなされて、額に触れてみる。
「…っ、やっぱり、体 冷やしたか。」
「さ、寒い…ヒチョ……」
俺の腕を力なく掴んでうなされるお前を、ベッドに連れて肩までしっかり冬布団をかけてやる。
「ったく。昔からお前はそうだったよな。」
頭の下にアイス枕を敷いて、額には熱冷ましの湿布を貼ってやる。
静かに側に付いてやるけど、やっぱり苦しいよな。
小刻みに寒さから震えるお前を、そっと触れてみる。
「…あんな話をした後なんだけどな。許せ…」
ベッドに横たわるお前の隣に、服を脱ぎ捨てて入り込む。
子供の時から、こうしてやると安心したように眠って、翌朝にはケロッとしてたから。
腕のなかにお前を抱いてやると、寒くて温かさを求めるお前の小さな手が俺の背中に回って肌と肌が密着する。
「こんなにも小さなお前を、俺は…。」
ぎゅっとキツク抱き締めてみた。
今にも折れてしまいそうなほど、小さな体でいつも俺の無茶ぶりに答えてくれてた。
どんなときも、笑顔で俺を支えてくれてた。
俺が我が儘言っても、文句一つ言わずに。
それは…
「全部、俺が好きだったからなんだな…」
ごめん。って、頭を撫でてやると、うっすらと涙が滲んでいた目から涙が一筋溢れた。
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なんで、そうなるんだよ。
少しずつ、自分の気持ちが見えてきたのに。
お前はなんで、俺の手をすり抜けてくんだよ。
バスルームの扉の前で頭を抱える俺は、僅かにアイツの涙を啜る声が聞こえた。
忘れてなんて、ホントは嘘なんじゃないのか?
何としてでも顔を合わせて、白黒ハッキリさせたくて扉の手すりを掴んだ。
「…っ、開けるぞ!」
有無も言わせず勢いよく扉を開けた。
そこには、一糸纏わぬお前の綺麗な体があって、涙で泣きじゃくるお前は目を赤くして俺を見た。
「…なぁ…」
口火を切ろうとした瞬間、崩れ落ちたお前。
慌てて支えたけど……
「おいっ!どうしたんだよ!っおい!」
ペチペチと頬を叩いても、息も荒く体が熱い。
苦しそうにうなされて、額に触れてみる。
「…っ、やっぱり、体 冷やしたか。」
「さ、寒い…ヒチョ……」
俺の腕を力なく掴んでうなされるお前を、ベッドに連れて肩までしっかり冬布団をかけてやる。
「ったく。昔からお前はそうだったよな。」
頭の下にアイス枕を敷いて、額には熱冷ましの湿布を貼ってやる。
静かに側に付いてやるけど、やっぱり苦しいよな。
小刻みに寒さから震えるお前を、そっと触れてみる。
「…あんな話をした後なんだけどな。許せ…」
ベッドに横たわるお前の隣に、服を脱ぎ捨てて入り込む。
子供の時から、こうしてやると安心したように眠って、翌朝にはケロッとしてたから。
腕のなかにお前を抱いてやると、寒くて温かさを求めるお前の小さな手が俺の背中に回って肌と肌が密着する。
「こんなにも小さなお前を、俺は…。」
ぎゅっとキツク抱き締めてみた。
今にも折れてしまいそうなほど、小さな体でいつも俺の無茶ぶりに答えてくれてた。
どんなときも、笑顔で俺を支えてくれてた。
俺が我が儘言っても、文句一つ言わずに。
それは…
「全部、俺が好きだったからなんだな…」
ごめん。って、頭を撫でてやると、うっすらと涙が滲んでいた目から涙が一筋溢れた。
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二人、無言で着いた自宅。
ジョンスもまだ、帰ってないみたいで静かな家。
びしょびしょに濡れしまった私は、着替えてくる。と言って、すぐさま自室へと向かった。
部屋にしばらく籠って着替えるなか、別の部屋でごそごそと何かしているヒチョル。
気になったのもあるし、ごはん作んなきゃと部屋着に着替えてキッチンに向かおうとすると、ヒチョルがバスルームからでてきた。
「お前、体冷えたままだろ?メシは後でいーから。先に入れ。」
バスルームに私を押し込んで、不器用なりに優しくしてくれるヒチョルに少し涙が込み上げた。
「…ね、ヒチョル。そこにいる?」
扉越しにヒチョルがいるか、確認する。
「なんだよ…」
実はずっと考えていたことがあった。
もう、一方的にヒチョルを好きでいるのを、止めよう。と…
きっと、これまで何も答えがないということは、私に対しての気持ちがなくて困ってるんだろうと。
何もできないから、こうして、優しくすることしか…多分、ヒチョルにはそれしかできないんだろう。
そうおもって、私は、私の好きだと言ったその気持ちから、ヒチョルを解放してあげよう。と、息を飲んだ。
「もう、私なんかに優しくしないで…?」
「…は?」
「あの時の言葉、忘れて?ごめんね。振り回しちゃって…」
「お前、何いってんだ?なんで、いきなりそんな話になるんだ?」
滅多に聞かない、イラつきの混じったヒチョルの焦った口調。
どんな気持ちなんだろう?
怒ったかな?
決して女の人には手を上げないヒチョルだけど、今回ばかりは私が本気なだけに殴られても仕方ない。
視界が涙で滲み、心なしかフラフラする。
でも、もういいの。
私のことで、ヒチョルが苦しむのを見たくない。なにより、ヒチョルとジョンスの関係が壊れるのがイヤ。
このまま、シャワーを浴びて溢れる涙も一緒に流せばいい。
ただ、それだけ。
「私ね、お母さんたちの所に行こうと思う。分かる…よね?」
ヒチョルが好きなことは、どうしても消えない。だからって、ヒチョルを解放してジョンスの手をとるなんて都合のいいことはできないもの。
だから、これが最後。
「私、お母さんたちの所に行ったら、もうココには戻らない。ヒチョルとも、ジョンスとももう…会えない。会わない。」
ポロポロと限度を知らない涙は、頬を伝い床へポタポタと落ちる。
もう、もう…
これが、最後。
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ジョンスもまだ、帰ってないみたいで静かな家。
びしょびしょに濡れしまった私は、着替えてくる。と言って、すぐさま自室へと向かった。
部屋にしばらく籠って着替えるなか、別の部屋でごそごそと何かしているヒチョル。
気になったのもあるし、ごはん作んなきゃと部屋着に着替えてキッチンに向かおうとすると、ヒチョルがバスルームからでてきた。
「お前、体冷えたままだろ?メシは後でいーから。先に入れ。」
バスルームに私を押し込んで、不器用なりに優しくしてくれるヒチョルに少し涙が込み上げた。
「…ね、ヒチョル。そこにいる?」
扉越しにヒチョルがいるか、確認する。
「なんだよ…」
実はずっと考えていたことがあった。
もう、一方的にヒチョルを好きでいるのを、止めよう。と…
きっと、これまで何も答えがないということは、私に対しての気持ちがなくて困ってるんだろうと。
何もできないから、こうして、優しくすることしか…多分、ヒチョルにはそれしかできないんだろう。
そうおもって、私は、私の好きだと言ったその気持ちから、ヒチョルを解放してあげよう。と、息を飲んだ。
「もう、私なんかに優しくしないで…?」
「…は?」
「あの時の言葉、忘れて?ごめんね。振り回しちゃって…」
「お前、何いってんだ?なんで、いきなりそんな話になるんだ?」
滅多に聞かない、イラつきの混じったヒチョルの焦った口調。
どんな気持ちなんだろう?
怒ったかな?
決して女の人には手を上げないヒチョルだけど、今回ばかりは私が本気なだけに殴られても仕方ない。
視界が涙で滲み、心なしかフラフラする。
でも、もういいの。
私のことで、ヒチョルが苦しむのを見たくない。なにより、ヒチョルとジョンスの関係が壊れるのがイヤ。
このまま、シャワーを浴びて溢れる涙も一緒に流せばいい。
ただ、それだけ。
「私ね、お母さんたちの所に行こうと思う。分かる…よね?」
ヒチョルが好きなことは、どうしても消えない。だからって、ヒチョルを解放してジョンスの手をとるなんて都合のいいことはできないもの。
だから、これが最後。
「私、お母さんたちの所に行ったら、もうココには戻らない。ヒチョルとも、ジョンスとももう…会えない。会わない。」
ポロポロと限度を知らない涙は、頬を伝い床へポタポタと落ちる。
もう、もう…
これが、最後。
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なんだか、最近のギクシャクした生活に、仕事でも顔を合わせなくちゃならなくて、すっかり疲れてる私。
でも、その癖、二人とも仕事を早めに切り上げて寄り道せずに帰ってくるから、気が抜けない。
ジョンスもヒチョル同様、基本的には外食嫌いだし、私が作ったものが一番美味しいって食べてくれる。
ヒチョルもあんなだし、二人を餓えさせないよう食事やお弁当は必ず作った。
そして、今日も三人分の夕飯作りがあるんだけど…
「さっきまで晴れてたのに…」
まさかのどしゃ降り。
仕方なく、ヒチョルがいつも雨に降られると雨宿り使う空店舗の屋根下まで走って雨宿り。
「…はぁ。びしょびしょだぁ。それに、寒い~。どうしよ~。」
びしょ濡れになったまま雨宿りして、次第に冷える体に寒気が走って、薄暗い天気が加わり不安にかられる。
すると、ふわりとタオルが頭へとかかった。びっくりして振り向くと、息を切らしたヒチョルがそこにいた。
「…びしょ濡れじゃねぇかよ。風邪ひくぞ。」
また、優しい口調。
ヒチョルが色んな出来事や、些細なシチュエーションで一喜一憂するその姿が、私の気持ちを掴んで離さないのに…
まだ、私だけ気持ちを伝えただけなのに。
そんな些細な優しい口調でも、ズルいと思うのは私だけ?
「ほら。帰るぞ。」
荷物を全部持って、真新しい傘をくれるヒチョル。
「ねぇ、なんで私がここにいて、傘がないってわかったの?」
「…なんとなく。」
背中を向けたまま、私に顔は見せなかった。
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