【なぜ米国はイランに負けたのか】 齊藤 貢 著
このところ、よくメディアに登場される元・駐イラン大使の最新著。外交官として、イランのみならず、エジプト、サウジアラビア、イスラエル、イラク、UAE、オマーン(大使)に勤務し、独特の分析をされています。漫画・アニメ好きで、「トムとジェリー」「呪術廻戦」などを例に挙げて解説されるのでとても分かりやすいです。
本書は普段話されていることをまとめた内容。①トランプは名前だけにブラフをかけて短期間でケリをつけようとする「ポーカー」に対しイランはじっと盤上を眺めて先手を読む「チェス」、②「ニューヨークの不動産屋」(即断即決型)対「ペルシャ絨毯の商人」(絨毯を買うのには半年かかる)、で両者の戦い方は全く違うとの指摘。「軍事」大国に真っ向から対抗するのではなく、「石油」という「非対称」の武器で戦っているとも分析しています。イラン人は長い歴史を通じて知的・合理的で、現時点ではイラン側に軍配が上がりそうながら、ときに傲慢・強欲となって失敗することもあると予見します。
察するに、出版社からホテルに缶詰めにされて短期間で書き上げたようで、繰り返しが多い点はありますが、普段、米国発の情報に接することが多い中、イランという国の考え方や中東情勢を知るには格好の一冊です。
