人蕩し | "Food for Thought"

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日々考えていることを、自分の思考をまとめるためにも書きつづっています。

尊敬できる上司シリーズ。その4。元・直属の部長であった方だ。

この方は、人を操るのがうまい。おだてて、調子にのせて、そのくせシッカリと自分の意見は通す。この点、鼻につく人がいることは事実で、ある人は「小商人(こあきんど)」とも呼んでいた。

しかし、部下になってみると、不思議に力をもらえる。部下のいいところを認める、それを周りにも伝える、大げさにみんなの前で誉める、など、ビジネス書にあるとおりと言われればそれまでだが、それが嫌だという者はいない。山本五十六は、「言ってきかせ、やってみせ、やらせてみせ、褒めてやらねば、人は動かじ」と言ったが、まさに「褒める」ということを徹底的に実践した方であった。

多くの上司は、部下の欠点を正す指導をしがちだ。しかし、部下の方は、いつも欠点を指摘されると萎縮してしまう。欠点は欠点として認めるが、それより長所を徹底的に伸ばそうとする上司のもとでは、安心して大きな力を出せる。

また、褒めるのも直接本人に言うだけではなく、裏でもしっかりサポートすることも重要だ。間接話法と言うのは恐ろしいもので、たとえ本人には良いことを言っていても、陰で逆のことを言われていると(往々にしてちゃんと本人の耳に入る)、かなりショックを受けるものである。この点、この「小商人」は世知に長けていて、シッカリとサポートしてくれていた。

それから時間が経過して別々となったが、管理職に昇格したときにメールをいただいた。いまでも「座右の銘」として携行している。①年上の人には礼を忘れずに接する、②他の人でも出来ると思える仕事は決して自分でやらない(責任だけはこちらでとって、うまく進んだら成果はあちらの精神でと考え、下の人に振り分ける)、③上の人からの嫌な話や怒られることは頑張って逃げない、④周りにドンドン教えを乞う、という内容が簡潔に書かれている。そして、最後は、如何にもこの人らしい締め括りになっている(ここだけ全文掲載)。
 
「⑤絶対に守ること。酒の席でも第三者にも決して部下の悪口や不満を口にしないこと。したら自分の負けです。部下のいないところでは、うそでも良いから部下を褒め続けること。」

全て真似をすることはできないが、この⑤だけは「絶対に守る」ことにしている。人を引きつけ、人を鼓舞する、まさに「人蕩し(ひとたらし)」の方であった。