ほんの小さな動作が地球規模の影響をおよぼすことがある。



科学者の田中は次のような論文を発表した。



カラスが鳴くと他のカラスも鳴く。
犬が鳴くと他の犬も鳴く。
これは会話をしているわけではない。
大気を動かしているのだ。
カラスも犬も喉が渇くと鳴き声を上げ、その波動で大気を揺らし雨を降らすのだ。



この論文は世界中に広まり、その稚拙な内容を皆がバカにした。
「なんとバカバカしい。およそ科学者とは思えない内容だ。」



その後世界は長い日照りに見舞われた。
作物は枯れ、水は枯れ。人々は途方に暮れていた。

「天気ばかりはコントロールすることができん。こう日照りが続けば人類は全滅してしまう。何とかならないものか。」

そんな中ある国の大統領が田中の論文を思い出し田中を官邸に招いた。

「田中さん。あなたは鳴き声が天候を操るという論文を発表した。
発表当時みなはあなたをバカにしたが、御存知の通り今は世界の危機です。
どうかお力添えをいただけないか。」

田中は答えた。

「大丈夫。もう2,3日でこの日照りは終わります。」



果たして、3日後に大雨が降った。
人々は喜び、田中を称賛した。



雨空を見上げなから田中はつぶやいた。

「やはり私の仮説は正しかった。天候をコントロールするのは鳴き声だけではない。
私が論文を発表して世界中が"バカバカしい"とつぶやいたがこの波動が日照りを呼んだようだ。
それが収まって雨が降ったが。。
今や救世主扱いされているからな、このことは黙っておくか。」