「本日より一切の親切を禁止する。」
大統領である田中は新しい法律を発表した。
「今の社会は他人をあてにしすぎる。誰かが助けてくれるかもしれない。
そんな甘えがあるからいつまでも自立できず足を引っ張る者が出てくる。
動物社会を見ろ。一切の親切行為は見受けられない。
それでも皆たくましく生き、ついていけないものは淘汰される。
我々政府は他人の親切をのらりくらり待つだけの者を養うだけの余力はないのだ。」
国民からは反対意見や抗議が殺到した。
だが田中はこれを一切受け付けず、かくして親切禁止法は施行された。
前を歩く人が財布を落としても拾ってはいけない。
電車の中で席を譲ってはいけない。
道に迷った人に道を教えてはいけない。
友達にノートを見せてはいけない。
雨の日に傘に入れてあげてはいけない。
募金活動をしてはいけない。
ありとあらゆる親切が禁止された。
これに反すると通報され、処罰を受けた。
果たして社会はしっかり者だらけになった。
自分のことは自分でできる者達が作る社会。
彼らは協力することはあれど一切親切行為は行わない。
それぞれの役割を決めて1つの物事を進めることはあっても、
他人のパートを手助けすることは一切しない。
こうして社会は瞬く間に発展していった。
その反面、自分の力だけでは社会の動きについていけない者達が大量に発生した。
彼らは職につけず、中には餓死してしまうものもいた。
それでも社会の動きは止まらず、発展は続いた。
やがて世界の人口は親切があった頃の1/2まで減った。
田中はふと親切がまだこの世界にあった頃のことを思い出していた。
あの頃は、そう、例えて言うならば草野球チームのようだった。
上手い人もいれば下手な人もいる。
そして今の社会はプロ野球チームだ。
上手い人しかいない。下手な人は排除される。
だからより強いチームになれるのだ。
「でも・・・」
田中は思った。
国民は協力をすることはできるがかばい合ったり助けあったりすることができない。
個人個人の力は高いが、チームとしての団結力が弱いのではないか。
田中は一抹の不安を感じていた。
ふと、空を見上げると1台のUFOが浮かんでいる。
地球のものではない。
やがて、数は増え、
敵意を見せるその物体は空を覆い尽くした。
地上には高度な文明と、その中で暮らす人間がいる。
自立した人間。自分の身を守ることには長けている人間が。
大統領である田中は新しい法律を発表した。
「今の社会は他人をあてにしすぎる。誰かが助けてくれるかもしれない。
そんな甘えがあるからいつまでも自立できず足を引っ張る者が出てくる。
動物社会を見ろ。一切の親切行為は見受けられない。
それでも皆たくましく生き、ついていけないものは淘汰される。
我々政府は他人の親切をのらりくらり待つだけの者を養うだけの余力はないのだ。」
国民からは反対意見や抗議が殺到した。
だが田中はこれを一切受け付けず、かくして親切禁止法は施行された。
前を歩く人が財布を落としても拾ってはいけない。
電車の中で席を譲ってはいけない。
道に迷った人に道を教えてはいけない。
友達にノートを見せてはいけない。
雨の日に傘に入れてあげてはいけない。
募金活動をしてはいけない。
ありとあらゆる親切が禁止された。
これに反すると通報され、処罰を受けた。
果たして社会はしっかり者だらけになった。
自分のことは自分でできる者達が作る社会。
彼らは協力することはあれど一切親切行為は行わない。
それぞれの役割を決めて1つの物事を進めることはあっても、
他人のパートを手助けすることは一切しない。
こうして社会は瞬く間に発展していった。
その反面、自分の力だけでは社会の動きについていけない者達が大量に発生した。
彼らは職につけず、中には餓死してしまうものもいた。
それでも社会の動きは止まらず、発展は続いた。
やがて世界の人口は親切があった頃の1/2まで減った。
田中はふと親切がまだこの世界にあった頃のことを思い出していた。
あの頃は、そう、例えて言うならば草野球チームのようだった。
上手い人もいれば下手な人もいる。
そして今の社会はプロ野球チームだ。
上手い人しかいない。下手な人は排除される。
だからより強いチームになれるのだ。
「でも・・・」
田中は思った。
国民は協力をすることはできるがかばい合ったり助けあったりすることができない。
個人個人の力は高いが、チームとしての団結力が弱いのではないか。
田中は一抹の不安を感じていた。
ふと、空を見上げると1台のUFOが浮かんでいる。
地球のものではない。
やがて、数は増え、
敵意を見せるその物体は空を覆い尽くした。
地上には高度な文明と、その中で暮らす人間がいる。
自立した人間。自分の身を守ることには長けている人間が。