田中がとある繁華街から少し外れた静かな道を歩いていると

大盛りランチ、30分以内に完食できたら賞金10万円

という看板を出している定食屋が目に入った。
「ちょうど腹が空いてしかたがなかったところだ。ちょうどいい」
田中はその店に入ると看板にあった大盛りランチを注文した。
「本当に30分以内に食べきったら10万円もらえるのだね?」
「はい、本当です。ただし、刺身一切れでも残したら大盛りランチの正規の料金、5000円いただくことになっております」
「よしわかった。私はいまたいそう腹が減っている。どんな料理でももってこい」
運ばれてきた大盛りランチなるものを見ると、なるほど、大盛りのご飯に大きなコロッケ、五人前はあろうかと思える刺身の盛り合わせが並んでいる。
はじめは軽快に食べすすんでいた田中だったが、さすがに賞金10万円と言う事だけある。
結局田中は半分食べたところで腹に違和感を持ちながらギブアップしてしまった。


閉店の時間を迎え、客の食べ残した残飯を食べられそうなものと捨てるものに分けながら定食屋の店主はつぶやく。
「どうせ捨てなきゃならない残飯をかき集めて客に出すとは、全くいい商売だ。量が多いだけでなく、古いものを使っているから食べきる客は滅多にいないしな。例え古いモノにあたって腹を壊しても客は食べ過ぎたのだと反省はしても恨まれはしない。全くいい商売だ。」