あれは事故だった。
由佳が6歳のとき、夏休みを控えた終業式の日の放課後、クラスメイトとかくれんぼをしたときの事だ。

じゃんけんに勝った由佳と他の五人の友達は、あちこち隠れる場所を探し、校庭の隅にある体育倉庫に隠れることにした。
普段、体育倉庫には鍵がかかっているが、その日は鍵が開いていた。


「ここなら絶対に見つからないぞ。」


隠れてから10分ほどしたが、鬼は姿を見せない。

さらに10分たったが、まだ鬼は探しに来ない。
由佳たちは、はじめは見つからない事を楽しんでいたが、だんだん隠れているのにも飽きてきた。
ちゃんと探しているのだろうか?

そこで痺れを切らした由佳は、他のものに奥で隠れているように言い、ひとりで鬼の様子を見に行く事にした。


由佳はそっと倉庫から出た。


すると、前から鍵をジャラジャラさせた担任の先生が歩いてくるではないか。

「おう、どうした?まだ帰らないのか?そんなに学校が好きなら明日からも夏休みとは言わずに学校に来てもいいんだぞ?」

担任の教師は冗談っぽく由佳に言った。

「・・・今、友達と遊んでいたんです。」

「ははは。そうかそうか。でもな、体育倉庫では絶対に遊んだらだめだぞ。ここは危ないからな。いいか?」

「はい・・・さようなら」

そう答えると由佳は走ってその場を去った。







五人の子供の遺体が体育倉庫から発見されたのは9月の事だった。





「先生、先生!」


生徒の呼びかけに由佳は我に返った。
20年たった今でも、気がつくとあの日の事を思い出している。
しかし、
そう、あれは事故だったのだ。


「はい、ごめんね。できたかな?」


いつまでもあの日の事を引きずっていてはいけない。

由佳はあのような事故を起こさぬよう、放課後に近所の子供を預かる図画教室を開いていた。


「うん。お友達を描いたよ。」


その子供が手渡した絵には、いるはずのない五人の子供が描かれていた。