1 展開の書き方
展開部分では,意見提示部分で述べた自分の意見の理由付けを書きます。「思うに・とすれば」の部分です。「しかし」で反対意見について反論したことをそのまま受けて,自分の見解を述べましょう。反対意見への批判と一緒になってしまっても構いません。反対意見への批判をして,「なぜなら」という感じで説明をし,その後,「とすれば」の部分を書きつつ自説へ持っていくというパターンです。
また,具体例や体験談を入れるなどして,説得力を持たせるのも良いです。「思うに」の部分は,「私は○○と考える」と直すと良いでしょう。「とすれば」の部分は「そうだとすれば」,「このように考えれば」に直すと良いでしょう。
なお,いくつか理由を述べるときは,「また・さらに・加えて」や「第一に,第ニに」などと書きましょう。
パターンとしては,以下のようなものがありますが,無理に使わなくても良いでしょう。
(1)テーマの原因について展開していく場合
・その背景には○○という事情がある。
・では,なぜ○○のように(そう)なったのであろう。
(2)テーマの結果から展開していく場合
・その結果,どんな事態が起こっているだろうか
・○○とは裏を返せば○○ということである
・ところで,最近○○が問題となっているが,その原因にも,今まで述べてきたことが関係あると思われる
(3)テーマの原因を社会的な見方から展開する場合
・○○とはそもそも○○である
・○○を○○的に考えた場合○○ということになる
2 結論の書き方
結論の部分は,余計なことは書かず,今まで書いたことを簡潔にまとめて書いたり,自分の考えをもう一度書くだけにしましょう。結論の部分はそれほど重要ではありません。
字数が余ってしまった場合は,代替案,歯止めなどで字数を埋めるようにしましょう。具体的には,テキストを参考にしてください。
3 展開・結論の練習
では,前回・前々回の問題提起・意見提示の課題を使って,いくつか展開と結論を考えてみましょう。
(1)添削課題
「現代社会におけるスポーツの意義(役割)」について述べなさい
参考答案例では,「このように考えると,現代社会におけるスポーツの意義というのは,競技性ではなく,多様な目的を持った人々に利用される,いわば娯楽としての意義も兼ねていると考えるのが妥当である。そして,多様な人間が利用するからこそ,スポーツにおいては,指導する側も利用する人の目的に応じた知識と経験,指導方法が求められており,スポーツの利用も指導も変化していると考えられる。
以上のように,現代におけるスポーツの意義は,競技だけではなく,娯楽の面も兼ねた複数の要素が入ったものだと考えることが出来る。この変化に応じて,現代では指導者も利用者も,過去とは全く違ったスポーツの利用をしているのである。」となっています。
自分の考えを述べ,「そして」以下で簡潔な理由付けを書いています。字数が余っていれば,多様な目的を持った人々に利用されている具体例や現状などを挙げても良いです。また,結論部分では,最近の指導者や利用者のことにも触れて,字数を増やしていることが分かります。
(2)添削課題①
高齢者とスポーツとの関係についてあなたの考えを述べなさい。
(800字以内,1時間30分)
参考答案例では,「そのため,成績を競うのではなく,いかに健康に良いかという視点でスポーツを捉えているといえる。
例えば,アクアフィットネスにおいては,水泳をするというより,水中で歩くことで,足腰の運動機能の低下を防いだり,ジョギングにおいても無理に走らずに,適度に歩くといった,身体に負担を掛けさせず,筋力や体力を維持するといったスポーツの利用が多いと考えられる。
以上のように,高齢者とスポーツとの関係は,いかに体力や筋力を落とさずに活動できるかという,健康維持という目的がある関係にあるといえる。」となっています。
「例えば」以下で,具体例を出して,自分の意見の理由に説得力を持たせています。結論部分は簡潔に終わっています。
(3)添削課題②
以下は産経新聞10月10日のネット記事である。以下の記事を読んで,100字以内で要約し,700字以内であなたの意見を述べなさい。(1時間30分)
「小中高生の体力が向上 13歳の50メートル走はピークに迫る 文科省調査」
小中高生の体力や運動能力が3年連続で向上したことが、10日公表された文部科学省の平成21年度体力・運動能力調査で分かった。13歳男子の50メートル走の成績では、子供の体力がピークだった昭和60年度と同水準に戻っていた。問題になっている子供の体力低下だが、文科省では「運動能力低下が止まり、緩やかではあるが、復調に向かっている」と分析している。
調査は21年5~10月に小中高校生の約3万1千人を対象に実施。50メートル走や立ち幅とび、ボール投げなど小学生男女は各8種目、中高生男女各9種目の計52種目で体力・運動能力テストを行い、記録をそれぞれポイント化した。
ポイントの総合得点は、小中高の男女ともに3年連続向上傾向。種目別でも上体起こしと反復横とび、20メートルシャトルランでいずれも向上するなど、52種目のうち28種目で向上傾向。低下は3種目だった。
特に中学生男子の50メートル走の平均記録は平成10年度より0・09秒速くなって7秒91。昭和60年度の7秒90に肉薄する結果となった。文科省は「体力作りの事業など、学校の地道な活動の成果」と分析する。
ただ、中学生男子の50メートル走以外は昭和60年度の水準に戻った種目はなく、立ち幅とびではほぼすべての年代で10年度と比べて横ばいか低下など、向上傾向のない種目もあった。調査に携わった順天堂大の内藤久士教授(運動生理学)は「小さいころから外で遊ぶ機会が少ないため、複雑な一連の動きが不得意なのではないか」と分析した。
運動能力について、20年度から実施の国の教育振興基本計画では「5年間で60年度の水準へ回復」としているが、文科省は実現困難とみている。新学習指導要領では、小中学校の体育の授業も増えることになっているが、内藤教授は「学校だけでは限界がある。交通機関も発達し、便利な現代社会では、体を動かす機会は減っている。週末や放課後に、体を動かす自由な時間がもてるようにするべき」と指摘している。」
以 上
参考答案例では,「すなわち,外で遊ぶ機会が少ないため,複雑な運動が苦手とのことである。
以上から考えると,50メートル走の結果に喜ぶだけではなく,今後は,他の種目の改善も得られるよう,学校での授業以外に,外で遊ぶ機会を親が中心となって積極的に作るなどして,この調査結果を悪い結果とも考える必要があると思う。」となっています。
ここは理由付けが少ないですが,記事に全て出てしまっているので,結論部分で字数を伸ばすようにしています。具体例などを入れて,もう少し字数を増やした方が良いかもしれません。
(4)添削課題③
時代と共に,スポーツには流行廃りがあります。
1960年代はテニスが,1970年代ではジョギングが,1980年代ではエアロビクスが,1990年代ではアクアフィットネスが流行っていました。
では,2000年代は何が流行っていたと思いますか。
流行っていたスポーツを答え,その理由を述べなさい。
(800字以内・制限時間1時間)
参考答案例は,「このように考えると,やはりプールさえあれば誰でも気軽にでき,転倒の心配もないことから安全に行えるアクアフィットネスが流行していたといえる。また,アクアフィットネス自体は,身体への負担も少なく,歩く・泳ぐの選択など,自分のペースで行えるという手軽さも流行の大きな要因といえる。
以上のように,私は2000年代も,アクアフィットネスが流行していたと考えている。」となっています。
いわゆる「とすれば」の部分で理由を述べ,「また」以下で理由を補強しています。展開としては理由付けもしっかりしている良い例です。結論も簡潔で分かり易いです。
(5)添削課題①
1 『女性とスポーツ環境』(石田良恵著・2005年・モダン出版)110頁~112頁「女性は男性の記録を超えられるか?」を読んで,女性が男性の記録を超えることができない理由を要約し,女性としてはどのようにスポーツと関わっていくべきか,あなたの意見を述べなさい。(1時間・800字)
参考答案例は,「そこで,やはり違いは違いと認識して,男女それぞれで結果を得られれば十分だと考えるのが良いと思う。例えば,筋力などの身体的特徴が重視されるハンマー投げ等では重量を変えたり,100メートル走などでも女性と男性とで記録を分ければ良い。反対に,マラソンスイミングや100キロメートルマラソンなど,男女混合で行っても差のでないような競技では,タイムを競えば良い。
以上のように,女性は男性と競うのではなく,個々の違いを認識して,それぞれに合った結果を得るというようにスポーツと関わっていくべきと考える。」となっています。
「思うに」の代わりに,「そこで」を用いています。「そこで」という接続詞も使いやすいでしょう。また,「例えば」以下で具体例を挙げて,理由に説得力を持たせています。結論も簡潔です。
(6)添削課題②
2 中高年に向くスポーツ,向かないスポーツをその理由と共に述べなさい。(1時間・800字)
参考答案例は,「私は,中高年に向くスポーツは,アクアフィットネスやゴルフ,ウォーキングなどだと考える。なぜなら,中高年には血圧が上昇するような無酸素運動をすることは生命の危険もあり,妥当ではなく,ウォーキングのように,ゆっくり行い,身体に急激な負担をかけないものが最適だからである。
反対に,中高年に向かないスポーツには,ウエイトトーレーニングや短距離走などが考えられる。なぜなら,息を止めながら行う負荷の強いこれらのスポーツや無酸素運動は,前述のように血圧が一気に上がり,中高年の身体に悪影響になる可能性が考えられるからである。
以上から,中高年には,健康維持の側面から,急激な身体運動を伴わない運動が妥当であると考えられる。競技としてのスポーツでなくとも,ジョギングやゴルフなどで有酸素運動をすることで,身体への負担を少なくしつつ,健康を維持できると思われる。しかし,これらの運動が健康に良いと周知されているとはいえないことから,今後は中高年に適した運動が何かを周知し,安全に運動が行えるように,広めていくことが必要であろう。」となっています。
この問題形式では,「以上から」という結論の部分で,自説と理由付け,結論を書いています。問題形式が特徴的なので,このような書き方でも問題ないでしょう。
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