出典: 商事法務No.1984 35頁「課徴金制度の見直し(2)」より
平成24年9月12日に公布された「金融商品取引法等の一部を改正する法律」(平成24年法律第86号)による改正である。オリンパスによる長期にわたる有価証券報告書の虚偽記載にかかる粉飾決算事件を受けた改正である。現行の金商法では、虚偽の開示書類を提出した発行者等に限って課徴金が課せられ、その共犯、教唆犯、幇助犯等の加担者には課せられない。これを改めるものである。
要件としては、まず、発行者等が虚偽開示書類等の提出を実際に行ったことが必要である。発行者等の行為は、①発行者が、重要な事項につき虚偽の記載があり、又は記載すべき重要な事実の記載が欠けている発行開示書類・継続開示書類を提出すること、②公開買付者が、重要な事項につき虚偽の記載があり、又は記載すべき重要な事実の記載が欠けている公開買付書類等を提出すること、である。
次の要件としては、加担者の一定の行為である。これは、
①虚偽開示書類等の提出等の容易にすべき行為であって、
(a) 会計処理の基礎となるべき事項の全部または一部を隠蔽又は仮装するための一連の行為に基づいて発行者等が虚偽開示書類等を作成することに関与し、助言を行うこと、
(b) 会計処理の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽又は仮装するための一連の行為の全部又は一部を行うこと、又は
②虚偽開示書類等の提出等を唆す行為である。
①(a)は会計処理の基礎となる取引等に関する事実を隠蔽するスキームや、会計基準に違反する会計処理を行うことにより会計処理の基礎となる事実を隠蔽・仮装するスキームの立案・提供することなどを想定している。
関与者の故意が必要かどうか。①(a)の場合は、会計処理の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽又は仮装して虚偽開示書類等を作成することに関する助言行為であり、その行為の性質上、そのような助言であることについての認識(故意)が必然的に伴うと解されている。他方、①(b)の場合は、外見上は正常な経済取引行為と異ならない場合もあり得るから、上記のような認識を必然的に伴うものではなく、したがって、課徴金を課するためには「隠蔽し、又は仮装するための一連の行為の全部又は一部であることを知りながら」が要件とされている。②の場合は、行為の性質上、故意が必然的に伴うものと解されている。
課徴金の対象となるのは、自然人はもとより法人も含まれる。
課徴金の金額は、当該特定関与行為に関し手数料、報酬その他の対価として支払われ、又は支払われるべき金銭その他の財産の価額に相当する額として内閣府令で定める額とされている。減算制度と加算制度もある。
除斥期間は7年である。
施行時期は公布の日から1年以内の政令で定める日である。