

あるおばあさんから聞いたギリギリの生還の話。
昨日ピアノを外に出して欲しいと依頼を受け、現場へ向かう。
早速五人で心が痛みながらもピアノをバールで解体し外へ。
作業が終わるとそこのお母さんは、ある一人のおばあさんを連れてきた。
その人の名前は新井さん。一人暮らしのおばあさんだ。
話を聞くとその新井さんのエリアは全くボランティアも居なくて家の中が泥と流れてきた家財だらけ。車も逆さになったまま転がってたり、正に地獄絵だ。
石巻の港近くの新井さんの家に着くと、寝室だったであろう場所へ連れて行かれる。
そこで新井さんは津波が来たときのことを涙を流しながら話し始めた。
津波警報が鳴ったとき、新井さんは妹さんの家にいた。しかし亡くなった旦那さんの位牌を取りに家へ戻る。でもその位牌を手にした瞬間、部屋へ大量の水が轟音と共に流れ込む。
新井さんは何とかタンスの上に登るが、水が迫ってきた。そして新井さんの頭はすでに天井についてる。水は容赦なく上がってきて、なんと新井さんの顎まできてしまう。
部屋の中は水だらけ、そして天井との境は数十センチ。
新井さんはその状態のまま、首から下が水に浸かったまま昼夜二日間をその状態で過ごした。
まさに地獄。
夜真っ暗な中で、計り知れない恐怖と共に新井さんは何を思ったのだろう、、、。
新井さんは言う。亡くなった旦那さんに助けて、助けてと天井を手で叩きながら二日間泣き叫んだ。
、、、俺も涙が溢れた。
二日後水が引き、新井さんは奇跡的に生還した。
極限の中、人間の生命力の凄さをこんな短かに感じたのは始めてかもしれない。
新井さんが助かって本当に良かった。
辛いこともたくさんあるけれど、被災者の笑顔や頑張っている姿を見れて、逆に勇気をもらう。俺は現地に来て本当に良かった。
今日は新井さんの家を引き続き片付け、そのお隣りさんからも依頼が来たからダブルヘッダーだ。
身体がだんだん痛くなって来てるけど、今日も一日気合いで頑張るぜ!
ケニー