【第5話】性接待➖競合他社の元社長K氏による嫌がらせの話
※途中からご覧の方は、お手数ですが第1話からご覧ください
派遣女性が自殺しました。予想だにしない最悪中の最悪なバッドエンドを迎えてしまいました。妹のリーディングによって、いち早くそのことに気が付いた私たちは、その瞬間こそ恐ろしさで体が震え、夜も眠れませんでしたが、朝を迎えて目が覚めた時、ようやくこの不毛な乗っ取り計画が終焉するのではないかと、不謹慎ではありますが少しホッとして、胸を撫で下ろしました。
元派遣の女性は、確かに凄惨な死を遂げました。しかしそれは、私からすれば因果応報。ほとんど交流のなかった私達や、優しく接してきた母を陥れようと何度もK氏のアジトに通い、虚偽の証言をしようとした報いではないかと思いました。
私「悪いけど、仕方ないよな」
妹「うん、これから普通に生きていくのも難しい時代になるし、これも派遣女性にとっては運命やったんやと思おう」
そうして、後味は最悪ながらもK氏による乗っ取り計画は幕を閉じると思われました。
しかし、事態はありえない方向に舵を切り始めました。
なんと、◯ーナン社長の指示により、K氏と幹部達は派遣女性の死体を隠蔽し始めたのです。男性幹部が派遣女性が自殺した部屋に集まって、遺体を回収し、さらには物流倉庫の貸し冷凍庫に隠して保管したことが分かりました。
「嘘やろ、、、」
私と妹は絶望しました。
人が死んでも終わらないのかと。
◯ーナンの社長について
ここで、◯ーナンの社長について少しだけお話しさせていただきます。◯ーナン社長は、K氏の会社をファンドから買収する際、K氏から私達の会社を乗っ取る計画を共有されました。その際、乗っ取りが成功するまでの間は無給で構わないから、会社の登記を残したままにして欲しい、さらにはECサイトをそのまま維持させてもらえないかと依頼しました。また、乗っ取りが成功した暁には吸収されて無くなるはずだったK氏の会社をK氏を代表に据えたままで子会社として存続させて欲しいと懇願し、了承を得ました。また、私達の会社の従業員やOB社員達は、乗っ取りにだけ利用して雇用はしないことも約束したそうです。
それからの◯ーナン社長は乗っ取り計画に前のめりでした。私達の会社のシェアを根こそぎ奪ってしまえば、売り上げが大幅に伸ばせると舌なめずりをしていたのです。◯ーナンの実店舗への導入も匂わせながら取引先に二者択一を迫れば、桁違いに規模の大きい◯ーナンを選び、確実に私達の会社を切り捨てるだろうと見込んだようでした。
しかし、◯ーナンの社長の見積もりは甘かったようで、実際に蓋を開けてみると、100社以上あった取引先の殆どはK氏側を切り捨て、飲み会にも参加しなくなりました。これは、何度も騙されたフリをしてK氏のアジトに呼び出されては情報をコツコツと取得してくれた社員達が、取引先に牽制のために起きていることや録音データなどを匿名で共有してくれたからです。
さらに、不毛な飲み会を繰り返す間に、K氏側の社員達が私達のXのポストを見てK氏が何を画策してきたのかを知り、一斉に会社を去りました。社員の方はちゃんとモラルがあったんだなと複雑な気持ちになりましたが、そのことで◯ーナン社長は会社を買収したのにスキルを持った社員達を全て失ってしまい、乗っ取りが成功しなければK氏の会社を買収した価格に釣り合わないと焦り始め、ますます乗っ取りに前のめりになってしまったようです。
始まった性接待
その後、何事もなかったかのように飲み会が開催され続けました。しかも、以前のように週に一度ではなく毎日のようにK氏のアジトでK氏のご褒美に引き寄せられたモラルのかけらも有さない企業が7社から、日によっては10社、集まり続けました。
しかも、自殺してしまった派遣女性の携帯電話から幹部達がなりすまして取引先に飲み会の連絡を取り続けました。
「今日は私が不正を証言します。集まってください」
実は、派遣女性が強姦された数日後に、派遣女性が強姦された部屋の録音データを社員達が集まり続ける強欲でモラルに欠けた企業に対して共有してくれていたのですが、その後、奇妙なことが起こりました。翌日は、初めてどの企業も集まらなかったのですが、そのさらに翌日からはまた何事もなかったかのように取引先が集まり始めたのです。
いくら何でもモラルが無さすぎる様子に、私たちはショックを受けて愕然としました。その後、派遣女性の自殺についてもXで共有しましたが、取引先は当たり前のようにK氏の元に通い続けるのです。
「なんか、おかしくない?何で人が強姦されて自殺してるのに、通い続けるんやろな」
自殺を証明する録音データはありませんでしたが、強姦されたデータは確実に受け取っているはずでした。取引先も、本当に頭がイカれた人たちだったのかと絶望しました。
その後もこの不毛な飲み会の終わらせ方がわからず、Xでは飲み会で何が行われているのかを暴露し続けましたが、正直、半分諦めモードでした。
「人が死んでも知らん顔する取引先がこの飲み会から卒業なんて、絶対しいひんやろ」
妹もあまりのことに自暴自棄になり、もう私たちが助かる道はないのかと打ちひしがれました。
そんな時、変な夢を見ました。
私が通い続ける取引先の担当者の人と同じ布団に入って服の中に手を入れられて身体を触られるという夢です。しかも、布団に入っているのは私だけではなく、かつてのOB社員も同じように布団に入って別の取引先に身体を触られているようでした。
起きた時、どうしてこんな気色の悪い夢を見たのか不思議でした。念の為、その気色の悪い夢の話を妹に共有しました。
そしてその後、すぐには気付けなかったのですが、カードを引いているうちに出てきたカードと夢が合致して、ようやくK氏側の女性幹部で元々は私達の会社にいた2人が、取引先に対して身体の関係を結んでいることがわかりました。
「性接待やな」
しかも、この性接待は社員達が派遣女性が強姦されている音声データを取引先に共有した直後から始まったようでした。10人以上いる取引先に対してまずは酒を飲ませて酔わせてから、終電間近になると1人ずつ、防音室へ連れ込んではまぐわいにもつれ込ませて終電を逃させて、朝まで拘束したようです。性接待は派遣女性が強姦されてから、約1ヶ月もの間、私たちがそれに気付いて暴露するまで毎日のように継続されました。
性接待は派遣女性の強姦を有耶無耶にするために苦肉の策として行われたようでした。しまいには取引先が「派遣女性の件はどうなったんですか?」と追求し始めるのを合図にして性接待が行われるようになり、派遣女性の話題は性接待を催促する合図のように使われ始め、いつの間にかどの参加取引先も、本気で派遣女性の強姦や自殺を追求することは無くなったようです。
しかし幸いにも、その様子は社員達がしっかりと録音してくれていました。ですが、あまりのことに社員達もドン引きしてしまっていて性接待の事実は確認していたものの、データを使おうか、どうしようかを決めかねているようでした。そこで、私たちはそのデータを取引先に共有するよう依頼しました。社員達は、まずは本人に匿名でデータを共有して飲み会への参加をやめるよう伝えました。それでも性接待の快楽に酔いしれてしまっていた取引先はK氏の元に通い続けましたので、会社の代表者や受注窓口など、共有の範囲を広げて送信したところ、ようやく飲み会への参加をストップさせることができました。
取引先がK氏から離れたことで、ようやく全てを終わらせられると思ったのも、ほんの束の間でした。
今度は、会社宛に弁護士から内容証明郵便が届き、社員達が不穏な空気に包まれます。
次回もぜひご覧ください![]()


