お前は何になりたいんだ?



数々のオリジナルシリーズをリリースして、東京のお店も大繁盛し、経営はずっと順調に進んできました。東京に店舗をオープンした翌年の2020年には大阪にも新店舗をオープンしたのですが、東京のお店から社員が研修に駆けつけてくれたり、男性社員が設置工事などはかなり手伝ってくれたおかげで、離れた東京での出店に比べるとはるかに楽にお店をオープンすることができました。


しかし、時はすでにコロナ禍でした。

マスクを付けなければ外を歩けないほど皆んなが神経過敏になっていて、リモートを推進しない会社は罪に問われそうな雰囲気すら漂っていましたし、店のオープンとリモートワークと増大する物流の課題が一気に押し寄せてきて私たちにとっては大きな試練となりました。


人が街に出歩かなくなり、ECサイトの需要はたちまち爆発的に増大しました。特にインテリア関連のECはおうち時間を充実させたいと願う人々が押し寄せて受注件数や問い合わせ件数、出荷件数も大幅に増加して対応に追われました。


私たちの会社は幸いにも実店舗とECの両方を兼ね備えていたため、コロナの影響で実店舗を臨時休業している間にも実店舗の社員達がECサイトの応援に回ってくれたことで何とか急激に増加した受注に対しても乗り越えることができました。


私と妹は、ぐちゃぐちゃになってしまった物流の対応に追われました。入ってくるはずの荷物が入って来ず、かと思ったら明日入荷予定のものが先に入ってきたりして、毎日数百件のご注文が、揃っているのかいないのか、ちゃんと出荷できているのかいないのか、把握するための確認作業が夜中まで続きました。

そんな中、あまりの混乱と恐怖に精神を病んでしまった社員が長期休養の末に会社を辞めてしまいました。長く勤めてくれていた社員だったので、私たちにとってもショックな出来事でした。



「どうしてこんなことになっちゃったんやろ」



ポツリと妹が呟きました。

世界中が瞬く間に電源を落としたかのように静まり返った現象に、まるで異世界に連れて来られたかのような感覚にさせられました。ただ静かなだけではなく、そこには感染の恐怖、得体の知れないワクチンへの恐怖、潜伏期間に感染させてしまったらどうしようという、加害者になる恐怖などが付き纏いました。静かなようでいても、仕事はいつもの1.5倍。取引先様との商談もリモートになり、お酒の席は全くなくなり、旅行や出張にも行けず、引きこもった中で必死に作業し続ける日々でした。





そんな、静かな混乱が続いた中のある日のこと。


ついに、その時は訪れました。

突然、妹がスピリチュアルに目覚めたのです。



ある日、妹は堰を切ったようにAmazonで大量のタロットカードやオラクルカードを買い漁るようになりました。YouTubeでもカードリーディングを披露するチャンネルを食い入るように見て独学でカードリーディングを学び始めたのです。私はというと、、、



うわ、タロットとかうさんくさ



と、思っていました。

あんなん適当に混ぜて出てきたカード並べても、何もわからんやろ。


そうは思いながらも、何となく気になってずっと妹の様子を見ていました。すると、妹がある日、旦那さんの浮気をタロットで突き止めたんです。



びっくりほーーーーーー!!!?マジか!



いよいよ興味が湧いてしまい、放っておけなくなった私は、まずは自分もやってみようと思いました。妹と同じように沢山カードを買い込んで、見よう見まねでやってみたんです。初めはあまりにもスピリチュアルなメッセージ内容に戸惑い、「何が伝えたいんか全然わからんわ」と思っておりました。それでも毎日毎晩やってるうちに段々と何となく伝えたいことが分かるようになってきました。


妹によると、カードでメッセージを伝えてくれているのは守護霊様だそうです。守護霊様によってキャラが異なるので出し方もさまざまらしいのですが、私の守護霊様は男性の方で、何かの分野での開拓者だった方だそうです。パイオニアっていうんですかね?私の気質や性格、やりたいことなどが諸々マッチして守護についてくださっているそうです。私の守護霊様は、非常に厳しい方で、どちらかというと放任主義、よほど必要じゃない限りは手を差し伸べないタイプのスパルタ系の方だと教えてもらいました。確かに、人から指示されるのはあまり好きじゃないし好きなように自分でやらせてもらいたいタイプなので、分かる気がします。多分、私の性格に合わせてくれてるんやろなと思いました。


ちなみに、守護霊様がついてない人もいるそうです。特にこの時代の大転換期にあたる現在は多くの人から守護霊様が見切りをつけて去ってしまっているそうで、いてくれるだけでもラッキーって感じみたいですよ。


コロナ禍も終わりに近づいた頃、そろそろ経営ももっと攻撃的に伸ばしていきたいなと、ずっと動けていなかった反動もあり新店舗を沢山出店して認知度と売り上げをどんどん拡大しよう!と思い立ちました。そして、いつものように守護霊様にカードを通じて相談してみたのですが、思いがけないお言葉をいただきました。


「お前は何になりたいんや?」

「カネ(金)キングか?カネキングになりたいんか?」と。


えーっと、事業者としては売り上げアップを目指していくもんなんじゃないの?と、それが当たり前に思っていた私はたじろぎました。


「え、じゃあ、何したらいいの?」


ここからが私の地獄の始まりでした。

今からは厳しい時代に突入するから、大それたことはしないでほしいと言われたんです。しかも、お前は本当の自分を見失ってしまっているから、ちゃんと本当の自分を取り戻せるように、自分自身とちゃんと向き合う時間をとってほしいと言われました。


「お前達は勘違いしてるけど、経営者って社員と同じ仕事をそこまで必死にやらなくてもいいんだよ。社員じゃないんだから。方針を定めて責任を取る、あとは若い衆に任せて見守るのが仕事でしょう?」


とも言われました。


え、そうなの?

じゃあ、何したらいいの?

ゴルフ???

ゴルフ?????


「え、どうしよう、こんなん生きてる意味ないやん」


咄嗟に私はそう思いました。

ずーっと当たり前のように仕事しかして来なかったし、目の前のことを必死にやってここまできたのに、がむしゃらにやるなと言われると、途端に何をしていいのかわからなくなったんです。


私「ちょっと、旅に出てくるわ」


妹「え、、、そうなん? 行ってらっしゃい」


会社に毎日朝から晩まで誰よりも長くいるとかもうしなくていいと言われたので、1人の時間を持ってみたら何か得られるものがあるかもしれないなと、1人で旅行に行くようになりました。


1人の時間が何よりも嫌いだった私が1人で旅行なんて本当に何していいのかわからなくて、運転中はずっと音楽に合わせて歌ってましたし、部屋に到着すると寂しくなってすぐに妹に電話してました。



「また?今占ってるから、あとでね」



私と違って1人でいることが好きな妹にはしつこく電話しているうちにウザがられ、速攻で電話を切られるようになりました。1人になると嫌でも自分に向き合わされます。



「本当の私ってなんなんやろ」



まさかこの歳になって自分探しの旅に出ることになるとは思いもせず、厨二病を拗らせた四十路のババアである自分が情けないし寂しいし、時には泣きながら毎日不安な日々を過ごしました。


困り果てた私は改めて守護の方に本当の自分って何?と聞いてみました。


すると、もう少し分かりやすい言葉で返してくれました。


「お前は本当の自分を外に出していない。本当の自分を出して嫌われたりしないために、常に偽りの自分を演出している。でも、そのことが逆に魅力を損ねてることに気付いてないんやで。本当のお前の方が100倍魅力的やねん。それに、本当の自分を出して嫌われるならその人とは付き合わなくていいねん。相手に合わせて自分を押し込めるのをやめろって言うてんねんで?」


とのことでした。


「これができないから、本物の人間関係も作れないんやで」とも。


あー、そうなんや。そういうことかと、腑に落ちました。


確かに私は相手がして欲しいことばかり考えて、きっとこう言って欲しいに違いないとか、これをやって欲しいんかなって思ったことをそのまま返すようにしてきたわって思いました。


それがあかんかったんや、、、


もう、あまりにも習慣化し過ぎていて今更矯正なんてできそうにないなと思いつつも、少しくらい傍若無人に振る舞ってみてもいいのかなと思いました。


ようやく、守護霊様のおかげでぼんやりと答えが見えたような気がした私はそこから自分改革に乗り出しました。


次回に続きます。


次回予告

本当の自分で生きてみる