令和4(2022)年4月10日(日曜日)晴れ

 

 社会学者の見田宗介(みたむねすけ)さん(84歳)が4月1日に敗血症で亡くなられました。

 

 

 見田宗介さんの著書は高校時代に倫理社会の授業の課題図書で「時間の比較社会学」(真木悠介(まきゆうすけ)名義 1981年 岩波書店)を読んで以来・・・同書にかぎらず、そして現在まで・・・折に触れて読み返してきました。

 

 

 

 

 「死の恐怖とニヒリズムをいかにすれば超克できるか?」という問題提起に始まる「時間の比較社会学」の結論は「現時充足的に生きる」、つまり「現在を未来の手段とするのではなく、喜びに満ちた「今」を生きる」という、言葉にしてしまえば何の変哲もないものです。

 

 しかしこの変哲のない結論を古代から近・現代に至る「人」の時間意識の変化から導き出す論理の組み立ては、それは見事なもので、若い日の私にとっての学問の規範になりました。

 

 そしてそればかりではなく、

 

 「現在を未来の手段とするのではなく、喜びに満ちた「今」を生きる」ことは・・・それは決して簡単なことではありませんが・・・「時間の比較社会学」を読んで以来今日に至るまで、私の日々の心がけでもあり続けました。

 

 

 

 「時間の比較社会学」の他に、見田宗介名義の著作で学生時代に出会った「宮沢賢治-存在の祭りの中へ」(1984年 岩波書店「20世紀思想家文庫12」)は多くの方にお薦めできる一冊です(この2冊は岩波現代文庫で入手できます)。

 

 

 

 

 

 

 また、平成25(2013)年に「定本 見田宗介著作集Ⅳ」(2012年8月7日第1刷発行 岩波書店)で読んだ「近代日本の心情の歴史-流行歌の社会心理史」(1967年 講談社「ミリオンブックス」 1978年「講談社学術文庫」)は明治時代から昭和40年代までの流行歌の歌詞を分析して、それぞれの時代を生きた人々の心情や世相を明らかにしていく・・・歌謡曲好きの私には堪(こた)えられない一冊でした。

 

 

 

 

 

 見田宗介さんのご冥福をお祈りいたします。