自分の紙幣は燃やしても良いけど、硬貨を溶かしてはいけない
鎌倉時代に青砥藤綱(あおと ふじつな)という人が
いました。
彼は、滑川(なめりがわ)という川に十文銭を落とし
たとき、それを探すためにわざわざ松明(たいまつ)
を五十文で買ってその落とした十文銭を探させた
そうです。
常識的に言えば、十文のためにそれ以上の費用
(と時間)をかけているので何ともおかしな話です。
でも、彼はこう言ったそうです。
『たとえ十文の銭であっても、探さなければ天下の
貨幣が永久に失われてしまう。
拾いあげた十文銭は手元に残るし、松明を買った
五十文も商人の手から次々と流通して世の中で
役立っている。
合わせて六十文の銭はなんの損失もない。
これが天下の利益というものだ』・・・と。
日本人は、こうした一種の知恵まわし/善意的
こじつけ/発想の転換話が好きな民族かもしれ
ません。
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お金は天下のまわりもの・・・とよく言われますが、
これは公益の心が現われた言い方です。
自分のお金(紙幣・硬貨)はあくまでも自分のもの
だ・・・というのは私益の心が現われた思考です。
一般論で言えば、お金のうち、紙幣を破ったり
燃やしたりするのは違法ではないそうですが、
硬貨は変形させたり溶かしたりしたら違法になる
そうです。
もちろん、紙幣でも他人の紙幣を破るのはダメ
ですが、自分のものなら特に罰せられることは
ないそうです。
ドラマや映画のワンシーンで「紙幣を燃やす」という
ショッキングなシーンはたまに出てきますが、考えて
みれば「硬貨を燃やす/変形させる」というのが出て
こないのはこうした背景があるからかもしれません。
まあ、紙幣は許されて硬貨は許されない・・・という
のは時代錯誤の法律ではないか?!という見方が
あっても不思議ではありませんが・・・。
たとえ合法であっても、紙幣だってお金(通貨)です
から、消滅させて流通できないようにするのは公益
の心から見ればそれに反することになります。
紙幣であろうが硬貨であろうが、公益の心をもって
判断するならどちらも「天下のまわりもの」です。
まあ、法律は時代とともに変化していきますから
数十年後にどうなっているかはわかりませんが、
いずれにしても青砥藤綱のような発想で「紙幣も
硬貨も大切に扱う」という姿勢が大事だと思います。
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