民法と税法における相続人の概念
民法では「相続の放棄をした者は、その相続
に関しては初めから相続人とならなかったもの
とみなす」とあります。
ところが税法では、相続の放棄があった場合でも
その放棄がなかったときの相続人(=法定相続
人)の数で税額計算が為されます。
面白いというか、不思議というか、バランスが
悪いというか・・・何ともややこしい話です。
では、法定相続人の数にカウントされるかどうか
で実際何が変わるのか?と言えば、一番大きい
のが「基礎控除額」です。
相続税が改正されて、現行では
「3,000万円+ 600万円×法定相続人の数」
が基礎控除額となっています。
たとえば、子どもの数が1人増えるごとに
600万円も課税対象額が引き下げられる
ことになります。
悪知恵の働く人だったら、「じゃあ、養子縁組を
たくさんして子どもの数を一時的に増やせば
いいんじゃないか?!」と考えるかもしれま
せん。
相続人が増えるほど税金が安くなることは、
相続人側にとってはありがたいことですが、
税務署側にとってはありがたくないこと・・・です。
したがって、税法上では過剰な節税に歯止めを
かけるために子どもの数を不正に増やさない
ように養子の人数制限をしています。
民法上では、要件さえ満たせば何人でも養子
縁組することはできますが、税法上では相続人
の数にカウントされる養子の数は「実子がいる
場合で1人、実子がいない場合で2人」に制限
されています。
ここでも、民放と税法の違いがあるわけです。
つまり、「相続人」という言葉は同じでも、
民法と税法とではその定義付けが異なる
・・・ということが言えます。
私は「相続人」とひとまとめにせず、それぞれ
「民法相続人」「税法相続人」という使い分け
をして区別するように使うようにしています。
言葉の定義は大事なので、誤解を招かない
ように共通言語化していくことは大事だと
思います。
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