- 告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)/湊 かなえ
- ¥650
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「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」我が子を校内で亡くした中学校の女性教師によるホームルームでの告白から、この物語は始まる。語り手が「級友」「犯人」「犯人の家族」と次々と変わり、次第に事件の全体像が浮き彫りにされていく。衝撃的なラストを巡り物議を醸した、デビュー作にして、第6回本屋大賞受賞のベストセラーが遂に文庫化!“特別収録”中島哲也監督インタビュー『「告白」映画化によせて』。
「告白」という題が象徴するとおり、物語は唐突な教師の「告白」から始まる。
教師の職を辞する際、受け持ったクラスでの最後の挨拶となったその内容は、
「自分の娘が死んだのは、事故ではない、このクラスの生徒が殺した」という衝撃的なものであった。
教師の告白から始まる時点で、まず視点が教師のそれに固定される。
教師が語る内容が真実であり、「犯人は誰だ、許せない」という脊髄反射が起こるが、
それは後々崩されることになる。語り手が変わるからだ。
語り手が変わり、そしてそれぞれの主張が「告白」という形で繰り返される。
主観や他者の目、他人からこう見られたい自分を演出したいというエゴが混ざり合い、
そして一体どれが真実なのかわからなくなっていく。いや、真実など初めからないのかもしれない。
事件に関わった各人は、それぞれ各人の事情や主張によって勝手に行動しているのだから。
皆、目の前の出来事を自分の望むように変え、納得できる理由をつけてしまうのだ。
そして加害者、被害者、傍観者が告白を繰り返して進んだ先にあるのは、救いのない結末であった。
うわっと一冊のミステリを読み進めたいときにおすすめ。うわっと読めます。
映画化もされているそうなので、何気にDVDを借りようかと思っている私。
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