・・・と、先日お問い合わせのお電話を下さいましたお客様が嘆いておられました。
得意先や仕入れ先と共同して、受発注のシステム統合をしようということになり、その方の会社に最近出入りするようになった中堅どころシステム会社さんに、アドバイスを求めたのだそうです。
すると、数日後、ぱりっとした細身のスーツを着たシステム会社の社員が5,6名やってきて、プレゼンをしたのだそうです。
プロジェクターとパソコン持参であったものの、スクリーンがなく、仕方なく、売り物のシーツ(この会社さんは、ビジネスホテルなどに寝具関係の物品を販売している会社さんなのです)を倉庫から引っ張り出してきて、それをスクリーンがわりにプレゼンしてもらったとか。
約1時間のプレゼンの中で出てくる横文字を誰も理解できないまま、終わってしまったのだそうです。
もう皆60歳を超えている経営陣が、倉庫や荷造りの現場と行ったり来たりしながらプレゼンを聞いたので、理解できないのは当然かもしれませんね。
そのシステム会社の社員が、「プレゼン、いかがだったでしょう?」と聞くものだから、その社長さんは正直に、まず横文字の単語の意味がわからず、ちんぷんかんぷんだった、と答えたそうです。
その後、社長室でシステム会社の社員さんらに、お茶とお茶菓子を出し、自分は出荷の時間なので倉庫に行き、戻ってきたときに社長室の扉の前に立つと、中から「こういうIT○○○のない会社は、先がないね!」という会話が聞こえてきたそうです。
「IT○○○」という言葉の意味はわからなかったものの、そんなに自分はITのことに無知なのか、無知だとシステムを依頼をしてはいけないのか、と腹が立ったそうです。
おそらくその「IT○○○」とは、「ITリテラシー」のことだと思います。情報を使いこなす能力、という意味で使います。
と、お怒りの社長さんに話したのですが、それを聞いてますますお怒り。
なぜか私が怒られているような雰囲気です。
でも、やはり気の毒ですよね。
その社長さん、36年かけて年商数億の仲卸の会社を育て、そのなかでシステム化には何度もチャレンジされています。この規模の会社で、基幹システムがしっかり出来上がっているのは、社長が、ITの重要さをしっかり認識されてきたからだと思います。
しかし、ITが本業なわけではないので、つい数年前には世の中に存在もしなかったような新用語をすべて知っているわけがありません。
自分がわかることを、相手もわかることを前提とするのは、プロの仕事ではない。
と、電話口でお話ししましたら、社長さん、「そうだよな?あんた、話わかるヒトだね-」とお褒め頂きました。
それから約2時間。社長がいま判断しかねていることや、不安に思っていることをお聞きし、いろいろアドバイスもさせて頂きました。
社長さんもずいぶん熱心なので、「これはきっと見積もりのご依頼を頂けるな」と思っていたら、「いやいや、参考になった。相談して良かった。システムの相談ってなかなか便利だね。また何かあったら相談します。よろしく!」とすっきりされたご様子で、電話を切られました。
相談って、そういう相談かい!!
と、通話の切れた受話器を持ちながら、ひとり、突っ込んでしまった私(笑)。
まあ、見積もり依頼や開発依頼に全くつながらないご相談でも、学ぶべき事は多いので無駄ではないですし、いつか、この社長が何かご依頼されてくる可能性もなきにしもあらずですし。
でも結局、この2時間分、残業せねばならない私でした。
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