抗がん剤ってどんなものなの?
今回は抗がん剤についてお話しします。
抗がん剤は字のとおり、『がんの増殖を抑える』ことを目的にした薬剤で、
私に投与されたのは5-FU(フルオロウラシル)と呼ばれるものです。
※画像は5-FUのイラスト
『おくすり110番』によると、『がん細胞の核酸代謝に作用して増殖を抑制する為、
代謝拮抗薬に分類されます。胃がん、大腸がんに一般的に用いられる他、
乳がん、子宮頸がんにも使われるポピュラーな抗がん剤』だそうです。
5-FUの副作用は、吐き気、嘔吐、食欲不振、白血球減少、味覚障害、疲労感、
皮膚の色素沈着、口内炎、脱毛などがあります。
抗がん剤ときいてまず思い浮かぶ副作用がひどい吐き気と脱毛ですが、
最近はそれほどでもありません。
特に吐き気に関しては、吐き気を抑える『イメンドカプセル』があります。
上の画像がそれですが、新薬とあって結構高い!
とはいえ、これがあるとないとでは大違いですから仕方ありません。
外来抗がん剤投与の半日
では、外来の抗がん剤投与について私の場合です。
1.採血(白血球数、その他を調べるため)結果が出るまで小一時間待ち。
2.リンデロン錠(抗炎症剤)・パリエット錠(胃腸薬)・イメンドカプセル(吐き気予防)
などを点滴前に服用
3.いよいよ点滴開始:5種類
・デキサート注射液6.6㎎(抗炎症剤)×2= 2ml
・アロキシ静注0.75㎎(鎮吐剤)×1= 5ml
・生理食塩水 100ml
・5-FU 250㎎(抗がん剤)
・生理食塩水 100ml
・エビルビシン塩酸塩注射用50㎎(抗がん剤)×2
・生理食塩水 350ml
・注射用エンドキサン(抗がん剤)500㎎×2
・生理食塩水 100ml
4.約2時間後に終了
抗がん剤としては3種類、その他の薬剤は抗炎症剤や鎮吐剤です。
これらをスムーズに体内に流すために生食(生理食塩水)が使われます。
外来の処置室の椅子は長時間座っていても疲れない豪華椅子で、
退屈しないようにTVやDVDを観ることもできます。
でも、大抵は寝てしまうのですが…。
途中、トイレに行く場合は、点滴をしたままガラガラと押しながら
用を足します。結構、面倒ですが、生理現象ですから仕方ありません。
さて、外来の抗がん剤投与は、まず『採血』からです。
ところが、なかなか検査結果が出ない。必ず小一時間ほど待つことになります。
本を読んだり、コーヒーを飲んだり、散歩したり、
とにかく結果が出るまで待つのですが、これがいつも上手くいくとは限らないのです。
せっかく病院まで来たのに、白血球数が上がらず、
そのまま帰宅ということも珍しくありません。
私の場合、最初の1月から3月までの計4回は一度も帰宅命令がありませんでした。
これはラッキーでした。
がん治療が始まれば、何かといえば採血です。
最初こそ簡単に静脈注射ができた私でしたが、回を重ねるごとに
血管が弱り、細くなっていきます。
免疫力が落ちるので血管の回復もおぼつかなくなるのです。
叩いたり、温めたり、しまいには手の甲に注射したり、痛みが増していきます。
これは私だけではなく、がん治療を行っている方なら誰にもあることです。
ですが、当時は、何もかもが初めてで、ほとんど物見遊山気分でした。
というのもすぐに治ると思っていたからです。
本当はそんなことなかったのですがね。
治療の基本は『病を知る』ことにあり
上のバッチは、『乳がん看護認定看護師』のものです。
認定看護師、専門看護師制度は1997年に開始されました。
看護師のブログ『コノミの部屋』によると乳がんの認定制度は2006年に
始まり、2014年度現在では、全国に200人ほどいらっしゃるそうです。
全国で200人ですからかなり少ないにもかかわらず、
私が通う病院にはいらっしゃったのです。
その看護師さんが声をかけてきたのは、2014年1月初旬、2度目の通院の時です。
『細胞診』という病巣の中心部に穴を空け、
そこからストローのようなものを入れ、悪性腫瘍の細胞を吸い取る簡単な手術の後でした。
手術後、気分が悪くなった私は別室で横になっていました。
そこへ主治医からの依頼を受けて、彼女がやってきたのです。
容態など様々なことを尋ねられた後、こんなことを言われました。
『これから治療を受ける際にあまり病気のことは調べないでください。』
要は余計な心配をしてはいけないからという配慮だったのでしょうが、
大病をするのが初めてだった私は素直にその言葉に従いました。
しかし、これは大失敗でした。
治療は、『病気を理解する』ことから始まります。
この時、こんなアドバイスを受けなければ、私は手術に前向きに臨み、
無駄な時間を過ごすこともなく、病気と対峙していたに違いありません。
1年前の私は、炎症性乳がんの恐ろしさを知らず、
すぐに治るものと思い込んでいたのです。
ですから、手術に対して懐疑的でしたし、手術するにしても
温存手術が可能ではないかと愚かなことばかり考えていたのです。
認定看護師なら、命にかかわる病であればあるほど、
『病気を知る』ことの重大さを患者に伝えるべきではないでしょうか?
例えば、抗がん剤を『マスタードガス』として批判するような
いたずらに不安をあおる情報に対してしっかりした説明をするなどです。
抗がん剤とマスタードガスは分子配列が似ているだけで同じモノではありません。
乳がん看護認定看護師さんなら、アドバイスすべきはこういうことなのです。
あの時、しっかり知らせてくれていれば…と今でも悔やまれます。
ですから、皆さんには私のような愚かな過ちはせずに、
しっかり病と対峙していただきたいと思っています。
抗がん剤の功罪
さて、最初の抗がん剤5-FU計4回は、うまい具合に私の身体に合いましたが、
ここで問題になるのが抗がん剤の攻撃が『がん細胞だけではない』ことです。
免疫細胞である白血球の中のNK細胞(ナチュラルキラー細胞)まで攻撃してしまい、
身体の回復力を阻害してしまうのです。
抗がん剤を長期間にわたり投与し続けると、免疫細胞のほうが
先に参ってしまい、治療ができなくなることがあります。
これが問題なのです。
何もできない期間が長引けば長引くほど、がん細胞は増殖します。
治療しているはずなのに放置しているのと同じ。
逆にがん細胞を増やす結果に他ならないというジレンマに
私を含めて多くの人が直面しています。
患者のみならず医療関係者も手をこまねいて見ているしかないという
状態は大変つらいものです。
血液免疫療法が注目されるのは?
この問題を解決するために今、注目を浴びているのが
『血液免疫療法』です。
簡単にいえば、血液中の白血球を培養し、数を増やしてから
再び体内に戻すことで、抗がん剤の欠点を補う治療法です。
抗がん剤と併用してこそ本来の力を発揮するのですが、
健康保険の対象ではないので、かなり症状が進んでから試みるので、
思った通りの結果にならないのが実情です。
健康保険でカバーすることになれば、一挙に広まり、完治する人も増えることでしょう。
現在、私もこの免疫療法を利用していますが、
これについては別の機会に書かせていただきます。
抗がん剤を使ってみたら
抗がん剤投与後の数日は身体がだるく、急を要しない限り、自宅で寝たり、起きたり
TVや音楽を聴きながら、まったり過ごします。
5-FUは4週間に1度ですが、前半の2週間はがん細胞攻撃期間、
後半の2週間は白血球回復期間になります。
最初は効いてるのか、効いてないのか、よくわかりませんでした。
右乳房は相変わらず固いし、本当にこれで効くのかな…と不安にもなりました。
しかし、点滴から1週間も過ぎると、だるさも解消され、
天気が良い日などは散歩でもしようかという気分になってきました。
「薬が効いてる」とはっきり感じたのは、眠っている時に後頭部が急にのぼせ、
寝汗が出た後です。これは個人差があるでしょうから、全ての人にあてはまるわけでは
ありませんが、とにかく私の場合は、寝汗をかいた後は、病巣が明らかに柔らかくなり、
少しづつ小さくなっているのを感じることができたのです。
脱毛ってどうなの?
そのうちに副作用もぼちぼち出てきました。
『脱毛』です。
最初の検査入院後、転移が認められなかったことを報告しに
主治医とその上司である副病院長のお二人が病室に来られたときのことです。
この副病院長は、ほとんど頭髪がないため年齢の割にかなりのお年に見えたのです。
その彼が何度も口にするセリフは、
「ウィッグを作りなさい。」でした。
入院前からもずっとこればかりなのです。
よほど言うものだから、ひょっとして先生がかぶりたいのでは…と
先生がウィッグをかぶった姿を想像して、一人で笑うほどでした。
まあ、これも患者さんの関心度が高いせいでしょうが、
私は特に気にしませんでした。一度、丸坊主になってみたかったし、
それに永久に生えてこないわけじゃありません。
抗がん剤の投与をやめれば生えてきます。
毛根からリフレッシュしたと考えれば、スッキリします。
1万円前後のおしゃれウィッグで治療期間を楽しむのもいいじゃありませんか。
どこまで脱毛するかというと、やはり頭髪が最も早く、治療が長引けば、
眉毛、まつ毛、体毛に至るまで抜けるそうですが、私の場合は頭髪だけでした。
ものの3ヶ月程度だったからでしょう。
今はすっかり生え揃い、先日、サロンでカットしてきたばかりです。
入院する前からショートにしていたので、イメチェンという感じではなかったですね。
アドバイスとして治療前にショートカットにしておくことくらいです。
ロングだと風呂場の掃除が大変だからです。
あとは、帽子をかぶることくらい。
そうそう、医療用ウィッグはまだ医療費控除の対象にはなっていないし、
それにかなり高額なので、安くて遊び心があるおしゃれウィッグがお薦めです。
では次回は、『急転直下、計算どおりにはいかないガン治療』です。
お楽しみに。































