秋の味覚、あけび。あの独特の甘さと、ほのかな苦味。つるんとした白い果肉を口に含むと、里山の風景が目に浮かぶ。今年はぜひとも、あけびを味わいたい。
そう思い立ち、近所のスーパーや八百屋を巡ってみた。しかし、どこにもあけびの姿はない。店員さんに尋ねても、「今年はまだ入荷がないねぇ」「もうそろそろ終わりじゃないかなぁ」という返事ばかり。
あけびは、スーパーではあまり見かけない。道の駅や産直市場なら、もしかしたら……。そう考えた私は、車を走らせ、近隣の道の駅を訪ねてみることにした。
いくつか道の駅を巡ったが、やはりあけびは見つからない。あきらめかけたその時、ふと目に留まった産直市場に立ち寄ってみた。
「こんにちは」
店内に入ると、新鮮な野菜や果物が所狭しと並んでいる。期待を込めて店内を探し回ったが、やはりあけびは見当たらない。
「あけび、ありますか?」
念のため、店員さんに尋ねてみた。
「あけび?ああ、今日入ったばかりだよ」
店員さんは、店の奥から籠いっぱいのあけびを持ってきてくれた。
「これ、採れたてだよ。よかったらどうぞ」
思わぬところで、あけびに出会うことができた。嬉しくて、籠いっぱいのあけびを購入した。
家に帰り、さっそくあけびを味わってみる。つるんとした白い果肉は、甘くてほろ苦く、まさに里山の味だ。
「ああ、やっぱり美味しいなぁ」
あけびを味わいながら、ふと、あることを思い出した。そういえば、いつものスーパーの店先に、あけびにそっくりなものが置いてあったような……。
まさかと思い、いつものスーパーへ行ってみると、なんと、そこにはあけびが山積みになっていた。
「ええええええええ!」
思わず、声が出た。
灯台下暗しとは、まさにこのことだ。あんなに探し回ったあけびが、いつも利用しているスーパーにあったとは……。
「まあ、いっか」
そう呟き、私は山積みになったあけびの中から、ひときわ美味しそうなものを選び、購入した。
あけび探しの旅は、まさかの結末を迎えた。しかし、おかげで美味しいあけびをたくさん味わうことができた。
来年もまた、あけびを探しに行こう。今度は、最初からいつものスーパーに行こう。