今回は、ユダヤ人に関する本を2冊読みました。
しかも移民、ニューヨークである。
世界の中でも決して数が多くなく、世界中に分散を余儀なくしているのであるが、その様々な差別などにめげずに生き抜く姿勢にシンパシーを感じ、尊敬の念も抱くのである。
今回は前回読んだ「ニューヨーク」の歴史、その成り立ちから現在までを知ったのであるが、一つの特徴ある国というか、ユダヤ人自体にスポットを当て、その人びとがいかにアメリカ人になっていったか、あるいは独自性を貫いているか、どう生活していったかを知りたくて、この2冊を読んだ。まったく、同時進行で各層は切磋琢磨していく姿を読むことができた。
前回読んだ本↓
鈴木輝次さんの
「ユダヤ・エリート」
~アメリカに渡った東方ユダヤ人~
アメリカの成功を語るとき、それはユダヤ人の活躍が必ずあった。金融業に始まるビジネス、音楽、映画産業などなど。私は、彼らエリートの根源はなんなのか、家庭教育、学校教育、モチベーション、考え方、言語力(中には10カ国も話す人もいる)、現代の我々にとって参考になる行動力を学ぶきっかけになることがあると思って読んだ。
東方ユダヤ人はとくに迫害は酷いものを経験している中にあって、東ヨーロッパからは多くの頭脳がアメリカに移住している。法学者、経済学者、科学者など頭脳的な職業、すなわち持ち出し可能な「脳で仕事をする知的な人びと」である。個別の方々の活躍は本書に詳しいです。
野村達朗さんの
「ユダヤ移民のニューヨーク」
~移民の生活と労働の世界~
同時に19世紀から20世紀にかけては、やむなく労働力と成らざるを得なかったユダヤ人も多く大量に移住してきて、ニューヨークのロアーイースト地区をユダヤ人居住区として確立していく様を本書はいろんな角度から教えてくれる。生々しくである。とくに衣服産業に従事する人びとが多く入って来たのは、その技術が東ヨーロッパで自らの仕事としてアメリカでもやっていけると自信もある仕事であるから多くのユダヤ人が従事したのは必然であった。また、本当に良く働いた。しかも、かれらのコミュニティの発達も素晴らしいものがある。相互扶助のネットワークを構築していく。
一方、家庭ではユダヤ教の戒律、教えへの忠実な守りに移住第一世代はそれゆえに確固たる生活、改善を試みていき向上していくのである。なんとも凄まじい、労働者階級でありながら、知識への強い欲求があり、長時間労働の疲弊した後、貧乏の中で乏しい夕食後に熱心に本を読む、勉学する姿はユダヤ人地区では普通であった。しかも、議論好きで互いにセミナーを開催して切磋琢磨した。これ読んで、なにか感じない方がおかしいのである。しかし、それでもアメリカ的教育に染まり、ユダヤ教の教えに忠実ではなくなる第2世代においてもその基本的頭脳労働の素晴らしさを発揮していくのである。
SEE YOU!