TPPなど農業をめぐる危機は実は他にもあり、ともに考えていってほしいので、長文ですが、書いてみたい。上の写真(土佐町の棚田)とは関係ないですが(=゚ω゚)ノ
これまで日本国内で造ってきた社会資本が老朽化してきている。なんと、それらを作り直すとなると、およそ18兆円かかるという。コンクリートは永遠ではなく、築後40~50年ともなると剥げたり、亀裂が入ったり、中の鉄筋が腐食したりしてその構造物の内部外部からゆっくり崩壊させていく。たまに高速道路トンネルでコンクリート剥落事故があって人が亡くなったりしていることがあるが、例えばそれだ。
だからといって、新しく作り直す費用はないので、国、地方自治体には無いから、修復プロジェクトが必要なんである。地味な作業ながら、必要不可欠な作業となり、その手法はこの10年間で徐々に進みつつある。
コンクリート構造物だけでなく、機械施設、橋など多彩に存在しているため、手法や管理も多く、煩雑であるが徐々にビジネスともなりつつある。
現在私が仕事上、この構造物修復プロジェクトに関与しているのは、農業用施設であり、一級河川物部川を堰き止め農業用水として香南市や南国市に灌漑している物部川統合堰とその用水路網である。この施設の受益面積はなんと約1400ha、水路延長は6.6kmもあり、築造後、なんと50年経過した老朽化施設である。
さて、その農業用施設である物部川統合堰等は鋼製水門とコンクリート製の堰と水路、あとサイフォン暗渠に分かれる。老朽化具合は最も鋼製水門部がさすがに損傷具合は酷く、また、コンクリート水路部分などは、じわじわと磨耗やひび割れが生じ、どこをどういった対策工事で直して行くか、もっか検討中なのだ。
そもそも、この物部川の堰は複数あり、昭和30年代後半までそれぞれの堰で取水して当時の南国市や野市町の農業用用水としていた。その灌漑開発は、藩政時代、野中兼山にまで遡るものである。昭和30年代後半の豪雨によって全堰が決壊し、その災害復旧工事として堰統合したのがこの統合堰の最初だ。
野中兼山の造った物部川の農業用水システムは今も地域農業には欠かせないものとなっており、米づくりやハウス園芸には常にこの農業用水は必要不可欠である。また、後世にその機能を引き継ぐ責任も現代利用者、関係者は負っているのである。これは、まさに『生命の水』なのである。つまり、その施設マネジメントは必須であり、それをどう今後実施していくかに頭を悩ますことは未来を造っていくことに繋がる。
では、そのために必要なことは何か?
まずは、その施設、物部川統合堰が運ぶ水の大切さに誰もが、とくに受益者全員が認識していくことではないだろうか。もっと言うと、この農業用施設は環境や防災にも役立つ多面的な機能もあることから、一般の方々にとってもひとつのかけがえの無い財産である。
では、そのために必要なことは何か?まずは、その施設、物部川統合堰が運ぶ水の大切さに誰もが、とくに受益者全員が認識していくことではないだろうか。もっと言うと、この農業用施設は環境や防災にも役立つ多面的な機能もあることから、一般の方々にとってもひとつのかけがえの無い財産である。
一方、 公共の道路や堤防などは行政管理であるから、ほぼ行政サイドで税金でやりくりして計画的に補修できるが、農業用施設は管理主体が地元民の団体で有るがゆえに資金的に厳しい状態であり、今回の話のような農業用施設修復プロジェクトを推進していくには、行政支援、受益者理解を欠くことはできない。だから、理解が必要だ。
翻って、現状、物部川統合堰水利システムの補修プロジェクトはどうか?県内でも規模が大きく、受益面積1400haへの水供給機能は確実に50年経過で老朽化が進み、そこなわれつつある。国のストックマネジメント事業も活用しながらプロジェクトを進めつつあるが、その補修費は多大なことが予想される。まだ算定まで至ってないが。
産業振興、農業振興を行うためにも、足元をもう一度見直し、生産基盤を再評価し、再出発する時期に来ている。土地改良法ができて70年近い、これまで農業基盤は一定整備されたが、それらは所詮、確実に運命的に老朽化していくから、管理していく能力と資金、手法を身につけないといけない。
その実例が今日岡山県であった。
岡山県真庭市では、20年前に新設された木製の橋が、耐用年数50年は見込まれたのに、最近、老朽化で木が腐り、通行止めとなり、近く取り壊し、再建はないそうである。専門家によれは、木材は管理の仕方により、何百年は持つというが、20年はあまりに早すぎる。管理面の検証をすべきとの声がある。
物部川統合堰でこの事態になれば、農業どころではない事態となる可能性ありだ。南海地震という脅威もあるので、本来なら、老朽化以上に対策が迫られるんだが、そのことはまた次回書いてみたい。
SEE YOU!
