「昔買い込んだ本だけど、
よく覚えている本があるよ。」
ふうん、じいさんにしては珍しいな。
忘れるよね、たいてい。
「それがまだ売れてるんだってよ。
すごいロングセラーだな。」
へえ。著者は誰。書評とかあるよね。
「書評かい……聞いたことないな。
センスが問われるよね。」
そうですよね。感性が絶望的ですよね。
「本屋で手にしてインパクト感じたからね。
もち、初版で買ったよ。最強のアンチロマンだよ。
ジョン・ケージ並みだったな。」
…ああ、あれね。白い本でしょ。
「今でも売れてるからな。……アンチアートとは
そういうものさ。」
夢だそうです。白々しい。

