昨年の「楳図かずお大解剖 」(サンエイムック)に続き、今年も楳図かずおの特集として、「楳図かずお『漂流教室』異次元への旅」(太陽の地図帖)が2年連続という形で発刊されました。どちらも素晴らしいのは、かなりの文章量を詰め込んでいるのに、低価格なので手に取りやすいという事です。

 ただ当然のことですが、原作を読んでない方は、先にこれを読むことはしてはいけません。特に今回は、表紙が本人なので、TVで知ってる吉祥寺に住む変なおじさんの本だからと手に取ってしまうと、昨年の特集と同様にネタバレ多数なので、そこだけは注意してください。やはり原作を先に読んで、そしてこれを読んで、再度原作を読むというのがベストな使い方かと思います。

 さて今回は「漂流教室」を徹底解剖しているわけですが、楳図かずおは、他にも「わたしは真悟」「14歳」というホラーからは逸脱した空想近未来マンガを描いていて、そこには通底しているものがあるので、特に「漂流教室」をメインにはしていますが、楳図の近未来感がどんどん現実化している今、危機感を抱いていれぱ読む価値があります。
 

楳図の場合、SFでいうところの「科学的な」という部分は、ほとんどなく、あの当時の直感のみで近未来図を描いており細かい設定などは気にしてはならず、大枠での未来予想として見れば、驚くほど的確に今とマッチしています。

 楳図のエキセントリックな風貌からは思いもつかない、シリアスに真実を見つめようという視点は、最も現代の人々に欠けていることかもしれません。直感だけでと書きましたが、そのためには常にニュートラルな視点で、世界や社会を観察していることが必要です。その上で、こんなことをしていたら、未来には地球や人類はこうなってしまうというのが、楳図の近未来マンガなのです

 

 その意味で、現在の権力者であるトランプや安倍晋三や金正恩などの悪人というのは楳図マンガのキャラとして出てきてもおかしくないほど、キャラの濃い破壊者でもあり、「漂流教室」での未来の地球へと導いている人たちであり、「14歳」であったように人間の本性が悪魔であったということを証明しているようでもあります。

 

  ジャケットは戸川純二世みたいな感じであまり好きなジャケットではないです。しかし内容が素晴らしい。ジャケで3点引きの97点といったところで★5つ。本当のテンテンコさんの雰囲気は「Good bye,Good girl 」のPVを見た方が良いです。

 歌詞が全部本人によって書かれているのですが、その鋭さが凄まじい。「Good bye,Good girl 」なんて「東電OL事件」を独特の想像力で、空恐ろしくも切ない歌詞に仕上げていて、かなり打たれました。曲も80年代のメロウなディスコぽいテクノポップでこの1曲を聴くためだけでも買いだと思います。

 他の曲も色々なミュージシャンが書いているのですが、全てテクノポップという体裁で貫かれていて、これは本人の希望だそう。そういう意味で、自己プロデュース能力が極めて高い人だと言えます。BISというアイドルは全然知らなかったのですが、この作品で一気にテンテンコさんは、3376と同じく作品を追っていかねばならない重要なアイドルとなりました。

 現在26歳というのは若者にとってはアイドルという年齢ではないのかもしれませんが、自分からしたら全然アイドルという感じの年齢です。とにかく個性的でエキセントリックというと、やはり戸川純かとなりそうですが、そうではなくて、どちらかというと風貌も含めて、飄々とした魅力、バカリズム的な知性を感じさせられました。

 

 

 

 この本に安倍総理の名前は一回しか出てきません。しかしながら、この本は現在進行形で「日本を破壊する」安倍政権とその仲間たちのお話であり、また仲間たちではないけれども、近代国家とは何なのかもしらない愚民になった国民への警鐘でもあります。

 その仲間たちというのは、もちろん日本会議を中心とした教育勅語などを肯定する人たちでして、これらは漠然と憧れる、かつて「美しい国」だった日本を取り戻したいと言ってますが、要は現在の日本国が斜陽になってきて、中国や韓国が追い付いてきたことに、あんな奴らに我々が劣るはずはないと考えている人たちです。
そんなわけで八紘一宇とか大東亜共栄圏などの思想は素晴らしい。あれを取り戻さなくてはと考えているわけです。

 しかし現実として、それは時代錯誤で、この時代に実現出来るわけもないのは明白でして、彼らは実は少数派であり、むしろ問題は国の成り立ちや政治に関心のない多くの国民のほうなのです。つまり平和ボケというやつで、「どうせ変わらない」という感覚で選挙にも行かない人たちが、そのような思考でどんどん劣化していく内に、「どうせ変わらない」はずだったものが、もっともっと悪い方に変わってきてしまったということです。

 少なくとも人として、まともな感覚が、ある程度残っている政権や総理なら、まあ選挙に行かなくてもいいでしょう。しかし悪い方向、狂った方向へと国民を導いている政権が現れたとき、ちゃんとそれを感知して、選挙に行って意思表示できる大人になっておかなくてはいけなかったのです。安倍政権がこれだけ長期政権になっているのは、小選挙区の問題もありますが、何と言っても政治に無関心で、この後に及んでも、全く選挙に行かない層が多すぎるということでしょう。

 森友学園、加計学園問題など、誰がどう考えても、安倍の都合で血税が無駄使いされているにも関わらず、今だにこれまた偏ったメディアの言うことを鵜呑みにしたり、それにすら関心のない人たちが、強くNOと言わないから、政府がこれだけの悪事を働いても、未だに総理を続けていられるわけです。

 大体、忖度があったかとかなかったとかは置いて、既成事実だけをみても、総理の親友や思想を共にする仲間に億単位の値引きをするなんて、それだけで本当は総辞職してもおかしくないわけでして、どうもここまできてしまうと、安倍総理のほうは「もう何でもありだ」という感じで、モラルの欠片すらなく、ただ日本国崩壊へと突き進んでいます。

 

 何せ本人的には、お爺さんの宿願だった「憲法改正」すら成し遂げさえすれば、後はほんとどうなってもいいんだと思います。そういうわけで、安倍批判や日本会議の本を読むのもいいですが、今の日本人が民主主義の国民として知るべき事が、ここにはたくさん書かれており、一歩引いた視点から、なぜここまで酷い安倍政権がのさばることが出来るのかを理解できます。