江ノ島エスカー | Just a diary

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「江ノ島エスカー そしてダイアモンド」

江ノ電に乗って江ノ島に着き、四百何十段の階段を上がると、植物園があった。


元気に満ち溢れている子供の頃だから、階段を上るのが大変と言うよりは、屋外を上がって行くエスカレーターが珍しく、母にねだって乗せてもらったのだろう。


途中でいくつかの踊り場を抜け上に到着すると、机を並べて砂の入った器を前にしたおじさんが私たちに呼びかけてくる。




「この砂をすくって中にあるダイアモンドを当てたらあげましょう」そんな口上だったように思う。



「お母さん、ダイアモンド当たるかな?」


あの砂の中にキラキラ輝く宝石が入っているかと思うと、そのまま立ち去ることが出来ずに母にわがままを言ったのだろう。


先を急ぎたい母だったろうが、何故かその時はおじさんの指し示す器に近づくのを許された。

ひしゃくのようなもので、砂を掬う。
平たい台の上にその砂を広げる。

巧みな動きで砂の中からキラキラ光る小さな粒を見つけ出す。

「あーーすごいねーー。ダイアモンド当たったよ」

興奮するわたし。

「このダイアモンド、そのまま差し上げる訳にいかないけれど、加工賃として○○円いただければ、指輪やネックレスになりますよ」


そそくさと立ち去ろうとする母。


指輪でもネックレスでも無く、砂の中に入ったキラキラしたものが欲しいと思うわたし。あの景色はもうないんだろうな。




(江ノ島エスカーは今もありますが、ダイアモンド売りのおじさんは今はいません)
























2017年9月10日に、Facebookの昭和レトロというカテゴリーで投稿したものです。

Facebookは投稿がどこまでも流れて行ってしまうので、こちらに少しづつ集めようと思ってます。