わたしの主治医はイケメンである。
かわいい系のイケメン、で自分でそれを意識してないのがなんともいい。
先月の始め頃髪型を変えて、それを「せんせい髪型変えたんですね?似合ってます!」と言ったらよそを向いてしまって、逆にこっちが困って隣のナースに「ね?ね?そう思いません?」と助けを求めるほど。
↑こんな感じの髪型
ニューバランスのスニーカーを履いて、こんな髪型をしていて、それなのに自意識過剰じゃないのってどうして?
年齢は不詳。最近気づいたら外科医のチーフになってたからそんなに若いわけじゃないのだろう。
三年前の9月にスキルス胃がんの手術をして、執刀医はS先生だったけど、最初の診断から今までA先生にお世話になっている。
スキルス胃がんを宣告されて「少し(手術を)待てませんか?」と言った時に「すぐにやります」有無をも言わさぬ言葉にこの先生を信じて行こうと決めた。
手術後TS‐1の服用を2年近く続けた後、去年のCT検査で腹膜播種が見つかって、やっと最初の2年を乗りきれたと思っていただけに受けたショックも大きかったけれど、また同じように治療を続けたら良いのだと思って、点滴による抗がん剤治療を続けている。
当日先ずは血液検査をして、その値で治療出来るかどうかが決まる。
診察室に入るとA先生が椅子を回してこちらに向くとニコッと笑って「調子はどうですか?」と聞く。「はい!元気です」とか「調子、良いです!」とかいつもこの答えだなあとおもいながら応える。先生が血液検査の結果を見ながら「検査の結果も良いですし治療しましょう」たいていはこれで終わって診察時間5分以内。
たまに「はい!元気です」の後に「ゴルフしました!」とか治療に関係無いことを言う。なんか元気なことをアピールしたくて言うんだろうけど先生もちょっと困って、そして「飛びましたか?」とか聞く。
患者も患者なら先生も先生。なんて答えて良いか分からぬ患者は(飛びましたか?は元の比べる数値があってからのことだしなあとか思いながら)「まあなんとか……元々ゴルフ上手くないし、良くも無く悪くも無く低め安定と言ったところです」
先生は嬉しそうにパソコンの画面に「ゴルフをした」とか打ち込んでいるしあ~あ
昨日は待合室でアマビエに色づけしていたから、毎度お馴染みの「どうですか?」「はい!元気です」の後に「せんせいアマビエって知ってますか?」
毎度唐突な質問をする患者だとはうすうす気づいていただろうがいきなりのアマビエに黙り込む先生。
困って早口で説明する患者。
「最近流行っているんですが、江戸時代の瓦版に載った妖怪のことで、海?川?の中から現れて「この後六年の間豊作が続くが疫病も流行る。その時はわたしの姿を描き写してみんなに見せるが良い」と言って海の中に消えたそうなんです。なのでSNSでこの妖怪を描いてアップするのが流行っているんです」
「で、○○さん(←わたし)も描いたんですか?」
え?!それ聞く?
「あの……待合室でアマビエの絵をダウンロードして色づけしてブログにあげてました」
「○○さんブログやっているの?」
「はい……」
「え?どんなブログ?」
「え?」
「なんか困ること書いてあるとか?」
「あ、いえ先生がニューバランス履いてるとかそんなことかな~汗」
「なになに?何て言うブログ?」
「あ、ツイン・ピークスって言うんですけど、いっぱいある名前だしヒットしませんよ」
コラコラそこ!紙になんか書くでない!
大丈夫!ツイン・ピークスとアマビエでヒットするわけないじゃん笑
あ、ヒットした。
どうか先生見ませんように。