それは7月23日のこと。
当日CT検査を予定していたので、前日夕飯のあとは何も食べず飲まずで過ごしていたの。
検査が終わり診察室の前で待っていた。
もうすぐ11時になろうかとしていたから、お腹が空きすぎて軽い貧血を起こしそうだった。
毎日三食しっかり食事をとっていたから、このイレギュラーな状態にわたしの体は戸惑っていた。
お腹が空いた!お腹が空いたんだよーーー!心の叫びを誰にも告げられず、そっとスマホを取り出す。
スシロー
検索画面にはスシローの四文字。
心ははやスシローに!
診察終わったらスシロー行っちゃるもんね!誰がなんと言おうとスシロー!スシローで鮪やらかっぱ巻きやら、鯛やひらめ、穴子に玉子、何でも持ってこーーーい!そんな気分だった。
そう。主治医A氏のあの言葉を聞くまでは。
「状態がよくありません。腹膜はしゅが起こってます」
もうすぐ胃がんの手術から2年。少し安心してたところに突然の宣告。
もうスシローどころではない!
そのあとアパートに帰って何をしたか記憶にない。
たぶんぼーっと時間をやり過ごし、お腹は全く空いてなかったのに、もらって冷蔵庫に入っていた桃をがじがじ食べたらふてくされて寝てしまった。
人間てゲンキンだよね。ほんのいっ時前まで
スシローのこと考えてたのに、スシローごと食欲もどこかへ行ってしまった。
診察室入る前だってガン細胞はわたしの体の中にいたのに、宣告されたとたん、わたしはガン患者になってしまったんである。
これではいかん!体がガン吉(ガン細胞)に支配されようとしているのに、心まで支配されてどうするよ?
翌日には、覚悟を決めていた。わたしは心も体もわたしの感じるように変えて行こうと。
美しいものを見て楽しい本を読み、心優しい人に会い、映画を観て笑い、一緒に歌い、フラダンスの祈りに自分を委ね、わたしを全うしようと。
スシローには行けなかったけど、この間のバスツアーで「おがさわら」の美味しいお寿司も食べて来れた。
楽しみはまだこれからなんだもの。


