「その大事な人って九鬼のことか?」

と耀がきく。

 

 

九鬼?さあ、知らねえな。

そいつは禁句だぜ」

 

 

やはりそうかと耀は悟った。

 

 

九鬼は最初から

借用書を渡す気などなかった。

見知らぬ土地に二人をおびき出して

始末するつもりだったのだ。

 

 

”いたち”がいきなり胸めがけ突いてきた。

 

 

耀は素早く身をひるがえして

相手の腕をつかみ取り

後方へ回り込んで捻り上げた。

 

 

 

そのまま”いたち”の体を

仰向けに倒し膝で固定すると

思い切り拳を打ちおろした。

 

 

これはかなり効いたらしく

”いたち”はそのまま床に崩れ落ちた。

 

 

耀はガッツポーズをとったが

“いたち”は頭を振って立ち上り

再び猛然と襲いかかってきた。

 

 

耀は”いたち”の拳を両手で受け止め

腕の下をかいくぐると

今度は背負い投げをかけた。

 

 

”いたち”は床に投げ飛ばされ

「ぐえっ」と呻いて

そのまま動かなくなった。

 

 

”スキンヘッド”はちっと舌打ちして

飛び出した。

 

 

こちらは数段上の腕前だった。

 

長いリーチを生かして

大きな圏捶を振ってくる。

大男が体重を乗せて

拳を繰り出すのだから

当たったら相当の破壊力があるだろう。

 

 

耀はよける一方になった。

次第に部屋の隅へと

追いつめられていく。

 

 

隙を見てフェイントをかけ

相手の脇下をくぐり抜け

反対側に逃げた。

 

 

耀は呼吸を整え、体制を立て直す。

相手の胴めがけて

渾身の拳を打ちこんだ。

しかし、逆に軽くいなされて

腹にひざ蹴りをくらった。

 

 

ふらふらとよろめいた所を

さらに強烈な回し蹴りを

胴に受け床に倒れてしまった。

したたかに頭を打ちつけ意識が遠のいた。

 

 

それもほんのわずかの間の事だった。

 

 

薄目を開けると”スキンヘッド”

が立ったまま手を上に突き出し

苦しそうにもがいている。

まるで水中で溺れているかのようだ。

 

 

目を凝らすと、”スキンヘッド”の喉元に

手が巻きついているのがわかった。

 

 

誰かが背後から首を締め上げている。

 

 

浩だ!

 

 

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