月・木・土に投稿予定です![]()
幼い兄妹はさほどもめることもなく
父の兄、百雄夫婦のもとに引き取られた。
両親の生前から近くに住んでいて
かねてから親しく往来をしていた間柄だった。
「今日からは私たちがパパとママだからね」
そう言って抱きしめてくれた
伯母の柔らかい胸の匂い
涙をこらえたような横顔を思い出す。
麗華は何だかよくわからず
にこにこしていたっけ。
子供のいなかった伯父夫婦に
実の子のように可愛がられ
二人は伸び伸びと育つことができた。
その期待に応えるように
耀は学業に、スポーツ
特に中国武術に一生懸命打ち込んだ。
もう一人の父の兄弟である剛英叔父は
道場を経営する師範で
剛英の息子の浩と共に
耀は幼いころからその道場に通っていた。
伯父の百雄夫婦は
中華街で「らーめん亭」を営んでいたが、
成績優秀であった耀を
東京の大学まで行かせてくれた。
金持ちの子弟の多い有名私立だったが
数少ない特待生枠で合格することができた。
耀は自分のことを不幸だと思ったことは
一度もなかった。

