水晶玉

 

月・木・土に投稿予定です飛び出すハート

 

 

「占い当たりますよ。

どうぞ、お入りください」

 

耀と浩が、緞帳のような

重いカーテンをめくって入ると

中は意外に広く

外観からは想像できないほどの奥行きがあった。

 

 

正面にはテーブルがあって

その上にはお決まりの水晶玉が鎮座している。

ここの主、占い師は

魔法使いのような帽子に

長髪で顔を隠すようにうつむいて座っていた。

 

 

二人が勧められて木のベンチに腰を下ろすと

占い師がおもむろに顔を上げ

正面からその顔を見た二人は声も出なかった。

 

 

何て不思議なご面相だろう。

不健康な黄色い顔に

大きくたるんだ下まぶた。

白髪の入り交じった長髪と長いあご鬚は

まるで面白おかしく変装をしたようだ。

 

 

「私の顔に何か付いているかね?」

と占い師。

「いいえ」二人は首を振って否定した。

「私の顔は変か?」

「いいえ、いいえ」

「ならいい」占い師は咳払いをして

「ところでさっきから黙っているが、用件は?」

 

 

さて、どうやって切り出せばいいのだろうか?

二人はとっさに飛び込んだから

何の考えもなかったのだ。

しばらくの沈黙のあと耀は口を開いた。

 

 

「僕たちが何を相談しに来たか

占い師さんならわかるんじゃないですか」

 

 

占い師は意表を突かれムッとした表情になった。

「わかっているかどうかだって…

わかっているさ、もちろんわかっている」

ぶつぶつと口の中でつぶやいた。

 

 

「ところで二人の名前を聞かせてもらうかな?」

これには耀も浩も正直あまり答えたくなかった。

相手の正体がよくわからないうちに

こちらの手の内を見せたくないのだ。

 

 

「僕たちの名前が必要なんですか?」

と浩が言うと

占い師は驚いたような顔をした。

また沈黙が訪れた。

 

 

「ふん、そうか。

名前も言いたくないのだな。

わしは姓名判断や人相学も含めて

総合的に霊視して占っている。

冷やかしなら出て行っておくれ。

時間のむだだ。やめた。やめた」

 

 

「僕たちそんなんじゃないです。

理由があって言えないんです」

浩は慌てて取りなした。

 

 

「それで占えと言うのか」

占い師はふーっとため息をついた。

「本当に難儀なものだな」

 

 

「人は困った時に占いを求める。

自分ではどうすればいいかわからないから

占いに頼る。

二人とも何か困ったことがあるから

良いことを言ってもらいたいと期待して

ここに来たのだな。

だが、占いは現実を変える魔法の力ではない!」

 

 

耀と浩は困ってしまって顔を見合わせた。

 

「ただ占いに救いを求める人の気持ちも

わからないではない。

しかし、これだけは言っておく。

解決策や打開する方法が見つかったとしても

かなりの困難を伴うことになる。

長い道のりになる。それでいいのだな」

と念を押すように言って睨んだ。

 

耀と浩はおとなしく頷く。

 

占い師は瞑想するように目をつぶって

水晶玉に手をかざした