祖母のカウンセラーと名乗った少年。

猫のような丸い輪郭

ふんわりとしたマッシュルームヘア

アルフォンス・ミュシャの描く女神の顔。

 

 

麗華は長い間ぽかんと見つめていて

あとから思い返して恥かしくなった。

彼はそんな風に見られることに慣れているのか

ずっと笑顔のままだ。

 

 

「カウンセラーと言っても

まだ大学生だから

先輩について補助業務なんだけどね。

 

インターンシップでここには

週3日ほど来ているんだ」

 

(大学生なのね。

じゃあ私と同じ年?

二十歳ぐらいかしら)

 

 

「祖母がいつもお世話になっています。

私、林です。

林麗華と言いますが…

あのお名前伺ってもいいですか?」

 

 

「えっ、僕のことですか?

僕は乾(いぬい)圭一郎といいます」

少し照れくさそうに

名乗り合った二人は顔を見合わせて笑い合った

 

 

「僕はここに来てまだ間もないんだけれど

先輩から君のおばあちゃんのことは

ちゃんと引き継いでいるから

安心して色々聞いてね。

 

 

そういえば次の日曜日は

ここの入居者のパーティーがあるよね。

“夕べの集い”だったっけ。

 

 

僕は一応来る予定だけど

君はどうするの?

おばあちゃんもできるだけ

車椅子で参加できるといいな。

夜には花火が上がってきれいだよ」

 

 

若い二人が話している様子を

陰からじっと見ている人物がいた。

 

「おや、まあ」

眼鏡をかけ直して久部恵子は見つめた。

「そういうことなのね」