清司は、おそるおそる「資料室」のドアを開けた。
人のいない室内はシンプルで
ブラインド越しに穏やかな陽が差し込み
整然と並んだ机を白っぽく見せている。
今日は自分一人。
いつも陰鬱な顔をしている室長も
ふてぶてしく睨みをきかせている
日隈もいない。
喜びが爆発的にこみ上げてきた。
彼らがいないことが
こんなに清々しく気持ちのいい事だなんて
思いもしなかった。
いかに毎日、窮屈な思いを
耐え忍んでいるかという事だ。
あまりの解放感に
もう少しで大声を出しそうになった。
くるくる回って
ダンスを踊りたい気分になったが
何とか自分を抑えた。
ゆっくりしている暇などないからだ。
一応、イントラネットで
全員のスケジュールは確認しているが
急に用ができたとかで
いつ誰かが顔を出さないとも限らない。
今日清司が出てくることは
もちろん誰にも言っていない。
ただでさえ目を付けられているのだから
休日出勤なんて言えるはずもなかった。
届け出など出せば即座に却下され
しつこく詮索されることはわかっている。
町のどこかで正午を告げるサイレンが鳴った。

