それにあの言い方
清司が疑問に思っていることを
室長は先回りして封じ込めている。
そんなことでごまかされたりしない。
どうしようか。
日中合間をぬってやっても時間はかかるし
資料を持ち出すと目立ってしまう。
時間が足りない。
それと一番大事な資料は
室長の手元にある資料だ。
デスクの中か、室長席の
ラックに置いてある。
誰もが簡単に見られる場所には
置いていないだろう。
やはり休日に出てきてやるしかないのか。
バイトのよし子嬢が
小さな箱を持って会議室に入ってきた。
部屋の一角にある備品棚へ向かい
抽斗の中に鉛筆、付箋、原稿用紙を
補充していく。
ああ、そうだった。
彼女が文房具の管理をしているんだった。
「ねぇ、ちょっといいかな」
清司が声をかけると
よし子嬢は手を止めて振り向いた。